台湾電力第3原発=2024年1月、台湾南部・屏東県(共同)

 【台北共同】台湾で唯一稼働していた第3原発(南部・屏東県)2号機が17日に運転期限を迎え、停止作業に入った。アジアで脱原発は初めて。ただ電力需要増を見据え、野党や経済界は再稼働を要求。与党、民主進歩党(民進党)の頼清徳政権も将来の小型モジュール炉活用には含みを持たせている。原発を巡る議論は続きそうだ。

 民進党は党綱領に新規原発の建設反対を盛り込んでおり、脱原発を党是とする。同党の蔡英文前政権は原発ゼロを推進。頼政権も老朽化した原発の再稼働に否定的だ。2026年にグリーンエネルギーの発電比率を20%以上にすることを目標にする。

 台湾は電力を大量に消費する半導体製造や人工知能(AI)を産業の柱に据える。経済界からは原発活用を求める声が出ている。立法院(国会)は13日、多数派の野党主導で運転期限の延長により再稼働を可能にする改正法案を可決した。第2野党、台湾民衆党は再稼働の是非を問う住民投票の実施を提案している。

 頼政権は、今年新たに稼働する火力発電所の容量は第3原発2号機の5倍に当たるとしている。