世界1位の壁は分厚かった。世界卓球で女子シングルスの伊藤美誠は、東京五輪の準決勝や昨年のアジア選手権団体決勝でストレート負けした孫穎莎に、またも1ゲームも奪えずに完敗した。涙をにじませつつ「自分らしさを出せなかった。孫選手のボールはやっぱりすごい」と素直に勝者をたたえた。
ラリー中にドライブ回転の強度を上げる相手のバックハンドに対応できなかった。
昨年のパリ五輪出場を逃す屈辱からはい上がり、世界卓球の個人戦は6度目の出場で、シングルスでは初のメダル獲得と復活を印象づけた。コーチをつけず、ベンチの母と戦った大舞台。「自分の力でしっかりメダルまでたどり着いたのは一生の思い出」と語った。