判決後に記者会見する原告のエリン・マクレディさん(右)と緑さん=11日午後、東京・霞が関の司法記者クラブ

 結婚後に男性から女性に性別を変更したトランスジェンダーの米国人が住民票の性別欄の変更を拒否されたとして、国などに損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は11日、対応は適法として請求を棄却した。

 原告はエリン・マクレディさん(51)と、妻の緑さん(55)。阿部雅彦裁判長は、民法には同性婚を肯定する規定はなく、エリンさんの住民票の性別を変更することは、日本の法体系に反すると判断した。

 判決によると、エリンさんは2000年に日本で結婚して3人の子をもうけた後、16年にトランスジェンダーだと告白。18年に米国で男性から女性に性別を変更し、パスポートや在留カードの性別も変更した。その後、東京都内の区役所で住民票の性別を女性に変更するよう求めたが認められず、職員から緑さんの続柄を「縁故者」とする提案をされた。

 判決後に記者会見したエリンさんは、「日本でやっていく方法はない」と控訴せず海外に移住すると話した。