欧州宇宙機関(ESA)は11日、太陽探査機「ソーラーオービター」が、地球からは見えない太陽の南極の撮影に初めて成功したと発表した。太陽系の惑星の公転軌道が含まれる「黄道面」から17度傾いた軌道に入ったことで、極とその周辺が視野に入った。
さまざまな角度から太陽を観察し、人工衛星や地球上の電力インフラなどに悪影響を及ぼしかねない太陽風の仕組みを解明するのが目的。太陽活動を予測し警報を出す「宇宙天気予報」の高度化に役立つと期待される。
探査機は2月、金星の重力を利用し、黄道面に対して傾いた軌道に入った。3月には紫外線や可視光線、磁気や物質の移動速度などを捉えた。データの分析を進める。
探査機は2020年に打ち上げられた。29年には33度とさらに傾いた軌道に入り、極域の詳細観測を試みる。太陽の極域上空は1990年に打ち上げられた探査機「ユリシーズ」が飛んだことがあるが、撮影機器は積んでいなかった。