証券口座乗っ取りのイメージ

 証券各社が、不正アクセスで口座を乗っ取られて株を勝手に売買された被害者への補償水準を詰める本格的な調整に入った。業界関係者によると、一部の証券会社は6月中にも具体的な水準を固めたい意向だ。ただ、今回は前例のない「異例の措置」(日本証券業協会幹部)のため、各社は最終的な判断に苦慮している。

 金融庁の5日の集計では不正取引件数は1〜5月で5958件、取引額は5千億円を超え、警視庁などが捜査に乗り出した。被害者は保有株を売却された上、勝手に買われて値下がりした株が手元に残るなどして損失が生じている。

 犯罪者側は事前に買い付けた銘柄の株価を不正な取引でつり上げて高値で売り抜けたとみられる。金融庁幹部はこうした手口は「盲点だった」と話す。日証協幹部は「極めて深刻な状況だ」と危機感を募らせる。

 日証協は5月に「一定の補償」をする方針を野村証券やSBI証券などの大手10社と申し合わせたと発表した。