2012年に静岡県伊東市の干物店で起きた強盗殺人事件で死刑判決が確定した元従業員肥田公明死刑囚(72)の再審請求が、今年2月に静岡地裁沼津支部で棄却され、約1カ月後には、東京高裁が協議を1回も開くことなく即時抗告を棄却する決定をしていたことが14日、関係者への取材で分かった。弁護側は拙速な審理だとし、最高裁に特別抗告した。
再審審理の長期化が問題となっているものの、死刑事件で約1カ月での結論は異例の早さだ。弁護側は、地裁沼津支部が証拠開示を認めなかったことは適正な手続きを保障した憲法に反すると主張したが、高裁は判断しなかった。弁護側は特別抗告に当たり「判断を示すことなく短期間で棄却することは、冤罪を防ぐための慎重な判断とは到底考えられない」と批判した。
確定審の一審は地裁沼津支部の裁判員裁判で審理。肥田死刑囚は無罪を主張したが、16年11月に死刑判決が言い渡された。最高裁が21年1月に支持し、確定。弁護側は21年8月に再審請求した。