国際協力機構(JICA)職員が政府開発援助(ODA)によるフィリピンの鉄道改修事業に関する情報を不正に外部に漏らした問題で、別の複数の職員も情報漏えいした疑いがあることが14日、JICAが設置した検証委員会の報告書で明らかになった。JICAは事実を確認し、類似の事案があるかどうかも調査する方針。

 JICAによると、問題になった鉄道改修事業は、フィリピンが2019年に競争入札を実施。これまでに職員1人が関連情報を東京都の建設コンサルティング会社に伝え、この会社が加わる共同企業体(JV)が20年に約15億円で契約を締結したことが判明。この職員は昨年7月に停職1カ月の懲戒処分になっている。

 弁護士らで構成する検証委が公開した報告書によると、この事業を巡り、別の職員も外部に情報を提供。フィリピンで実施された他の円借款事業では、さらに別の職員が情報を漏らしていた疑いがあることが新たに判明した。

 検証委は原因について「業務を円滑に進めなければならないとのプレッシャーがあった」と指摘した。