2025年度、最初の展覧会は2つの企画展を開催いたします。
 仏教館の企画展『伊豆 民間仏(みんかんぶつ)めぐり』は、室町~江戸時代に、伊豆の人々が造像した仏像をご紹介します。江戸時代の伊豆では、専門仏師に仏像造像を依頼するほか、地元の人が造った、素朴でのびやかな造形が魅力の仏像が多く生み出されました。おおらかな表現の思わず頬が緩むような仏像の数々をお楽しみください。
 近代館で開催する企画展『であう、はじまる―画家たちの初期作品』は、上原コレクションから、若き日の画家たちが描いた、みずみずしい感性あふれる作品をご紹介し、その魅力にせまります。

展覧会概要

1)展覧会名  【仏教館】 企画展 伊豆 民間仏めぐり
        【近代館】 企画展 であう、はじまる ―画家たちの初期作品

2)会期   2025年4月26日(土)~9月23日(火・祝)  151日間
       *会期中無休

3)開館時間 9:30–16:30(最終入館は16:00まで)

4)会場   上原美術館 仏教館・近代館
       〒413-0715 静岡県下田市宇土金341

5)料金   一般1,000円/学生500円/高校生以下無料
       ※団体10名以上10%割引
       ※障がい者手帳をお持ちの方は半額になります

6)ギャラリートーク
   展覧会をより深くお楽しみいただける、作品解説を行います。
   開催日時 展覧会会期中の毎月第3土曜日
        【近代館】10:00~ 【仏教館】11:00~  各回約50分
   参加方法 時間になりましたら展示室へお集まりください。※要入館券
    

―展覧会の見どころ

【仏教館】 伊豆 民間仏めぐり

■おおらかで愉快なかたちの仏像集合!
 6世紀に日本へ伝来した仏教は、都に仏教文化の花が開き、やがて各地へと伝播しました。古代、中世の仏像造像は、貴族や武士たちなど支配階級が主になり、仏教美術の名品が数多く生まれました。室町後期から江戸時代になると、地方の民衆の間にも仏教が定着し、さまざまな階級の人々が仏像を造るようになります。本展では、こうした民間で造られた仏像を紹介いたします。
 南伊豆町石廊崎の正眼寺・般若堂に伝わる荼枳尼天像(だきにてんぞう)は、神狐に乗る女神の姿が特徴的な仏像です。神狐が上体を反らし、足先まで伸ばすそののびやかな造形は、本像の魅力の一つで、女神像のにこやかな表情と相まって、思わず頬が緩むような姿です。
 このほかに、東伊豆町北川地区に伝わる、シャープなシルエットの観音菩薩像、幕末に伊豆で活躍した仏師、松本雲松や石田半兵衛の仏像など、個性豊かな仏像をご覧ください。



     

【近代館】 であう、はじまる―画家たちの初期作品

■ みずみずしい感性があふれる画家たちの初期作品
 上原コレクションには画家の初期作品が多く収蔵されています。本展では、画家たちの初期作品に注目し、その魅力に迫ります。
 ≪科学と慈愛≫は、ピカソ15歳の頃の作品です。官展のために大作の準備をしていたピカソは何枚もの習作を重ねました。本展で展示する作品は、その最終準備作です。ピカソはこの絵をもとに縦2mの大作を仕上げ、マラガの展覧会で金賞を受賞しました。ピカソの画家としての人生がはじまる作品です。
 そのほか、モネに憧れて絵筆をとった18歳のシニャックの作品≪アニエール、洗濯船≫、駆け出しのゴッホがミレーの版画を模写した≪鎌で刈る人(ミレーによる)≫、若き梅原龍三郎が、師ルノワールに助言を受けた≪モレー風景≫など、みずみずしい感性があふれる画家たちの初期作品をご紹介いたします。

―主な出品予定作品

[仏教館] 
1. ≪荼枳尼天像≫室町~江戸時代 木造・彫眼・彩色 南伊豆町石廊崎・正眼寺
2. ≪観音菩薩像≫江戸時代 木造・彫眼・素地 東伊豆町北川地区
3. ≪菩薩像≫江戸時代 木造・彫眼・素地 伊豆市修善寺・修禅寺
4. ≪不明立像≫江戸時代 木造・素地 下田市須原・薬師堂
5. ≪閻魔王像≫明治4(1871)年 木造・彫眼・彩色 伊豆の国市御門地区 ほか

[近代館]
1. パブロ・ピカソ≪科学と慈愛≫1897年 油彩、カンヴァス 39.0×50.5㎝
2. ポール・シニャック≪アニエール、洗濯船≫1882年 油彩、カンヴァス 38.6×56.0㎝
3. フィンセント・ファン・ゴッホ≪鎌で刈る人(ミレーによる)≫
    1880年頃 鉛筆、水彩、紙 55.5×30.5㎝
4. ポール・ゴーギャン≪森の中、サン=クルー≫
    1873年 油彩、カンヴァス(カルトン張り) 24.8×34.5㎝
5. 梅原龍三郎≪モレー風景≫1911(明治44)年 油彩、カンヴァス 61.2×73.4㎝ ほか