中京の2年生エース鈴木悠悟は、すさまじい勢いで進化し続けている。昨秋の新チーム発足から投手に専念し、抑えからスタートして、3年生左腕日比野脩平とのダブルエースとして東海ベスト8に貢献。今春からは背番号1を背負い、名門復活を目指す中京の絶対的エースに成長した。春県準々決勝の県岐阜商戦、準決勝の岐阜第一戦ではいずれも完投で1点差勝利に導くと、東海初戦の津田学園(三重)戦では、最速145キロもマークし、七回まで14奪三振の無失点。八回からつかまり7失点、勝ち切ることができず、藤本貴久監督も「まだ発展途上」と評したが、その可能性は無限に広がり、鈴木の快投がチームに強さをもたらす。打線は能力の高い3年生が並ぶが、藤本監督が掲げる「低く強い打球で逆方向」の打撃も確立途上で、今村陽一副部長による〝強い中京〟への意識改革もまだ半年。だが〝大いなる可能性〟を秘めたチーム。夏の戦いから目が離せない。(岐阜新聞デジタル独自記事です)

 第107回全国高校野球選手権岐阜大会は7月5日、ぎふしん長良川球場で開幕する。近年にない激戦の〝戦国岐阜〟を制するのはどこか。高校野球取材歴38年目の夏を迎える記者が、他の追随を許さない圧倒的で綿密な取材と、独自視点で、それぞれのキーワードを軸に有力各校を読み解く。

 ◆進化し続ける絶対的エース2年生右腕鈴木

 昨年、母校監督に就任した元プロ野球巨人の藤本監督。初年度はプロ並みの短いイニングで5、6人の投手をつなぐ継投で夏を戦った。「突出した投手はいなかったが、一定レベル以上の投手が何人もいた」と藤本監督。今年も能力の高い投手がいるが、その中で、みるみる突出した存在へと成長していったのが鈴木だ。

大いなる可能性を秘め、日々進化する中京2年生エース鈴木悠悟=立命館宇治高グラウンド

 小学6年でタイガースジュニア、中学では世界少年野球西日本選抜でも活躍した鈴木。中京入学直後に遊撃手のレギュラーとなり、夏は4割近い打率を残した。

 投手に専念してからは、球威ある直球と、切れのいいスライダーを武器に、冬場のトレーニングも地道に続け、着実に成長の階段を上っていった。

 球威、切れのアップはもちろんだが、鈴木の非凡さは...