【北京共同】中国北京市で拘束されスパイ罪で起訴されたアステラス製薬の日本人男性社員の判決公判が16日、北京市の第2中級人民法院(地裁)で開かれることが10日、分かった。日中関係筋が明らかにした。

 有罪判決が言い渡されれば日中関係に悪影響を及ぼすのは必至。男性は中国に進出する日系企業でつくる中国日本商会の要職に就いた経験があることから、日本企業が中国事業に一段と慎重になりそうだ。

 中国側が9日、日本大使館に判決公判の日程を連絡した。判決は大使館員が傍聴する予定。男性の具体的な起訴内容は明らかにされていない。

 邦人拘束を巡っては、石破茂首相が昨年11月、南米ペルーで中国の習近平国家主席と実施した初の日中首脳会談で、男性を含む中国で拘束された邦人の早期釈放を要求したが、実現していない。

 男性は2023年3月に拘束され、昨年8月に起訴された。同11月に初公判が開かれた。

 習指導部は「国家安全」の維持を重視し、厳しい社会統制を敷くとともに外国人への監視を強化している。