免疫細胞にがん細胞を攻撃する力を持たせる「がん免疫療法」の治療効果を高める可能性がある新しい腸内細菌を見つけたと、国立がん研究センターなどのチームが14日付の英科学誌ネイチャーに発表した。この細菌は日本人の約2割が保有。患者に口から投与することで治療薬が効きやすくなると期待され、既に企業と臨床応用の検討を始めたという。
同センターによると、治療薬「オプジーボ」などを使ったがん免疫療法は、治療効果を高めるために他の薬と併用した場合でも、長期にわたって効果が得られるのは治療を受けた患者の約2割にとどまる。治療効果の有無に腸内細菌が関わっていると考えられているが、詳しいメカニズムは分かっていなかった。
チームは、がん免疫療法を行った胃がんや肺がんの患者計約70人のデータを分析した。薬が良く効いた人の便には、あまり効かなかった人に比べて特定の細菌が多く含まれていることが分かり、この細菌を「YB328」と名付けた。
同センターの西川博嘉分野長は「次世代のがん免疫療法への応用が期待される」と話している。