少子化や大学入試改革で今、高校を取り巻く環境は大きく変化しています。岐阜県内の高校はどう対応していこうとしているのでしょうか。岐阜新聞デジタルは各校の校長らトップにインタビュー。学習方針や進路対策、キャリア教育について考えを聞きました。今回は郡上高校。山間部の郡上市にあり、毎年30~40人の国公立大学合格者を出す実力校ですが、実は市内には大手の塾がありません。そんな生徒たちを支えるのが教師たちによる支援と、地域で培われてきた「凌霜(りょうそう)」精神だと浅見和人校長(58)は言います。(岐阜新聞デジタル独自記事です)

―郡上高校の特徴は。
本校は生徒の90%以上が郡上市の子どもたち。地元ケーブルテレビが卒業式や高校野球の応援番組を放映したり、保護者も本校の卒業生だったり、地域からの関心は非常に高い。
―普通科の特徴は。
普通科は単位制で1クラス約30人編成。2年生から文系理系ごとに応用クラスと標準クラスに分かれる。応用クラスは主に国公立大学や難関私大を目指すが、このクラス分けは成績やテストの点数で生徒を分けていない。担任と話し合い本人の希望で決める。生徒本人が将来やりたいこと、なりたい職業を基に応用クラスか標準クラスか選ぶ。3年生になる段階で変えることもできる。応用クラスが結果として特進クラスの役割を果たしているが、生徒の希望をかなえるための仕組みだ。
1年生は英語と数学は習熟度別授業をしている。本校に入学してくる生徒の学力は幅が広い。一番学力差が現れるのが英語と数学だ。得意な生徒の力を伸ばし、不得意な生徒は丁寧に基礎から教える。そのための習熟度別だ。
―探究の取り組みも盛ん。
県の指定を受けており、地域課題探究を進めている。「観光甲子園2023」の「SDGs修学旅行部門」でグランプリを獲得。郡上おどりをテーマにした修学旅行のプランを提案した。「清流の国ぎふ栄誉賞」も受賞。2024年度には「マイプロジェクトアワード全国summit」で「ガチャde郡上を盛り上げよう」を探究したチームが岐阜県代表として出場し、今年3月に東京大学で発表した。
―総合農業学科群の特徴は。
1年生で農業の基礎を学ぶ。2年生で生徒の希望に合わせて3学科に分かれる。
園芸科学科は野菜栽培や草花栽培について学ぶ。特徴が工業の科目も学ぶこと。スマート農業に対応するためプログラミング学習がある。スマート農業の機器を使いこなしたり、メンテナンスしたりするための基礎知識を学ぶ。

食品科学科は食品製造を学ぶが、私の一番の売りはヨーグルト。県内の農業科で作っているのは本校だけだ。ヨーグルトは衛生管理が大変難しい。製造している部屋には校長である私も入れない。牛乳は郡上市産で、校内の販売所「郡高マルシェ」などで販売している。
森林環境科学科は森林・林業の担い手を育てている。学校の裏が演習林で、枝打ち実習、チェーンソーなどを実践的に学んでいる。また、木工製品の製造を通してものづくりの基礎を学ぶ。
―進学実績は。...