遺言の見直しについて開かれた法制審の部会。中間試案をまとめ、パソコンやスマートフォンで作成できる「デジタル遺言」創設の複数案を提示した=15日午後、法務省

 自筆を原則とする遺言の見直しを議論する法制審議会(法相の諮問機関)の部会が15日、中間試案を取りまとめた。パソコンやスマートフォンで作成できる「デジタル遺言」創設の複数案を提示。相続への関心が高まる中、電子機器の活用を進める。意見公募を経て要綱案をまとめ、法務省は早ければ来年の通常国会で民法改正案の提出を目指す。

 現行の遺言制度は、公証人が関わる「公正証書遺言」と、自ら作成する「自筆証書遺言」が主に利用されている。自筆は公証人に依頼するより大幅に費用を抑えられる利点があるものの、本文を全て自分で記す必要がある。手書きの機会が減る中で、利用者の負担の重さが指摘されてきた。

 部会が示したのは大きく分けて3案。電子機器で作成した上で(1)本人が内容を朗読した様子を録音や録画で記録(2)データを公的機関で保管(3)プリントアウトするなどした書面を公的機関で保管―とした。

 偽造や変造を防止し本人による作成を裏付けるため、朗読する姿を録音・録画した際に2人以上の証人が映るようにする案や、電子署名を活用する案を提示している。