緩いカーブと内角攻め。V候補中京が、市岐阜商の2年生左腕エース原陸碧に苦しめられながら打ち崩し、ベスト16に名乗り―。第107回全国高校野球選手権岐阜大会第5日は19日、ぎふしん長良川球場など4球場でA、Bブロック2回戦8試合を行い、中京が4―2で市岐阜商を下した。唯一、1回戦不戦勝の岐阜城北は、成長著しい2番手長屋樹が1安打、6奪三振、無失点の快投で土岐商の追い上げをかわし、4―1で3回戦へ駒を進めた。
◆打ち崩せない中京打線…七回、2―2の同点に

「低く強い打球」の徹底で、初戦の各務原戦を快勝した中京に、市岐阜商の2年生エースが立ちはだかった。
キラーコンテンツは「緩い縦カーブ」。初戦の研究で、十分、対策を練り、緩いカーブを打つ練習に徹してきたはずが、夏の大会独特の緊張もあり、思うように打ち崩せない。
三回、先頭の中嶋悠輝が中前打し、犠打、進塁打で2死三塁。主砲小原輝也がスローカーブをとらえて、逆方向の左翼線に二塁打し、同点。四回には代打角谷将が中前勝ち越し打を放つなど2点を奪ったが、その後は再三、スコアリングポジションに走者を置きながらも決定打が出ず、突き放せない。
「緩いカーブを張っていると、一転、内角にストレートを投げ込んでくる」と小原も、2番に入った主将井之脇陸斗も口をそろえるように原は粘り強く投げてくる。

打線が苦しむ中でも、主導権を渡さなかったのは自慢の投手陣の好投。先発の3年左腕日比野脩平から2年生右腕西岡海心のリレー。2―1の七回から、藤本貴久監督は、予定通りマウンドにエース鈴木悠悟を送った。
ところが立ち上がり「冷静なつもりだったが、自然と力みが入り、球が浮き気味になった」と鈴木が自己分析するように1死一塁から、代打杉山弓佑大に右越え三塁打を打たれ、同点に。それでも勝ち越しは許さなかったエースの力投にその裏、打線が応えた。
◆チームテーマの「低く強い打球」で難敵攻略

七回先頭の2番井之脇。3本のファウルで粘り、フルカウントの8球目。インコース低めの難しいストレートだったが、しぶとく食らいつき、左中間にはじき返し、二塁打。続く、鈴木がきっちりと投前に犠打を決め、1死三塁。打席には三回に同点打を放っている頼れる主砲小原。
1ボールからの2球目のインコースのストレートをはじき返した打球は、チームで徹底してきた「低く強い打球」。一塁強襲となり、激走で内野安打を勝ち取り、勝ち越しの三走井之脇を本塁へ迎え入れた。「必死だったが、足でセーフを勝ち取れたことはうれしい。流れを変える打席になった」と4番の重責を果たした。
原攻略の手は緩めない。...