「全然ダメ。相手投手が足をつるまで得点できなかった」。田所孝二監督が厳しく断じた岐阜第一の初戦だが、大黒柱・水野匠登が投打ともに不在ながら見せた安定した戦いぶりは、V候補としての底力を証明してみせた。第107回全国高校野球選手権岐阜大会第3日は12日、プリニーの野球場などで1回戦10試合を行い、岐阜第一は9―0の七回コールドで土岐紅陵を圧倒した。(岐阜新聞デジタル独自記事です)

◆しっかりたたきつける…酒井と伊藤がいざなった岐阜第一本来の打撃力

 「高めに力があるボールが来て、力んで、みんな打ち上げていた」。1年から主力の5番酒井昊が振り返るように、初戦の力みもあって、岐阜第一打線は土岐紅陵の先発・土本賢志を打ちあぐねていた。

岐阜第一×土岐紅陵=4回裏岐阜第一、無死一塁から酒井昊が左翼に二塁打を放つ=プリニーの野球場

 酒井も二回の第1打席で、主砲永安弘和が死球で出塁した後、「しっかり見ていこう」とフルカウントの6球目のスライダーを見極めて見逃したが、判定はストライク。永安が盗塁をしかけ、三振ゲッツーとなり、逸機した。

 それだけに四回、前打席と同じように先頭の永安が四球で出塁した第2打席は「ここで打たないと打線が乗ってこない」と気を引き締めて向かった。

 狙いはチームが、力んで打ち上げてきたストレート。ファウルの後の2球目。インコース高めの狙い球をしっかりたたきつけて二塁打し、言葉通りに打線を波に乗せた。

 続く上農奎人が右犠飛を放ち、欲しかった先制点をもぎ取ると、...