行政処分を受けた社会福祉法人「清陽会」の施設=2023年5月、東京都府中市

 東京都は29日、府中市の社会福祉法人「清陽会」が運営する障害者の通所施設2カ所で虐待や公的な報酬の不正請求があったとして、障害者総合支援法に基づき、利用者の新規受け入れを1年間停止する行政処分を発表した。過去に都の指導に虚偽の報告をしていたことも分かった。

 清陽会では、市職員OBで元副理事長の男性らによる知的障害者への虐待が約10年間続いていたほか、私的流用など約9700万円の不正経理があったことも既に分かっている。千田恵司理事長は取材に対し「処分を厳粛に受け止め、深く反省している。再発防止に取り組んでいきたい」と答えた。

 都によると、清陽会は雇用関係にない看護職員を配置したと偽り、2012年に施設の指定を受けていた。看護職員不在のまま19年まで約1億7千万円の報酬を不正に受給。利用者から徴収したお金を返すよう都から指導を受けたのに「返還した」と虚偽の報告をしていた。

 元副理事長は繰り返し利用者を虐待。清陽会は法律で義務付けられた通報をせず、防止の取り組みも十分にしていなかった。