東京電力は29日、福島第1原発の廃炉で最難関とされる溶融核燃料(デブリ)の本格的な取り出しが、3号機を皮切りに2030年代初頭に着手する目標から遅れて37年度以降にずれ込むと発表した。3号機の準備作業に12〜15年程度かかるためとしている。政府と東電は工程表「中長期ロードマップ」で事故発生40年となる51年までの廃炉完了を目標に掲げているが、達成は難しくなるとみられる。
東電の小野明廃炉責任者は記者会見で「物理的に考えて厳しいと思っているが、(3号機から)後ろの工程は見えておらず目標は下ろさない」と強調。一方で東電に技術面で助言する原子力損害賠償・廃炉等支援機構の更田豊志廃炉総括監は別の会見で「元々困難だ」と指摘した。
東電は取り出し設備を備えた建物を造るに当たり、3号機原子炉建屋に接する廃棄物処理建屋を解体する案と解体しない案を提示。更田氏は「廃棄物処理建屋の内部調査すら始まっておらず、計画を具体化していく必要がある。2案とも不確かさがあり、さらに検討を求めた」と述べた。