破損した上水道管=4月、京都市下京区(同市上下水道局提供)

 国土交通省が、老朽化で耐久性が低下し、破損のリスクが大きい「鋳鉄」製の上水道の旧式管を全て撤去する方針を決めたことが10日分かった。京都市で4月に発生した漏水事故を受け、同型管の更新を急ぐ必要があると判断した。国内の総延長は約1万キロと推定。このうち、災害時の住民避難や物資輸送で使う緊急輸送道路下は2030年度、浄水場や配水池などとつながる基幹的な管路は35年度までに撤去・交換する。管理する全国の自治体に更新計画作成を求めた。

 鋳鉄は鉄を含む合金で、1960年代ごろまで全国の水道管で多く用いられたが、衝撃に弱く、老朽化で破損しやすくなる。自治体は、耐久性に優れた「ダクタイル鋳鉄管」などへの置き換えを進めている。

 国交省の担当者は、緊急輸送道路で漏水が起きると、陥没や浸水で円滑に通れなくなり、物資輸送や人命救助が遅れると指摘。「放置すると地震などで破損し、大規模な断水にもつながる。早急に交換が必要だ」と説明した。