改修した店舗に立つアディエ・アレクサンドルさん=加茂郡八百津町伊岐津志、Bisous
改修中の古民家。右は妻の三恵さん(2020年12月)

 岐阜県加茂郡八百津町伊岐津志に“手作り”のフレンチカフェが今月オープンした。手作りといっても、料理だけではない。店は、明治時代に建てられた古民家。フランス出身のアディエ・アレクサンドルさん(38)が3年間かけて改修した。

 厨房(ちゅうぼう)の白いタイルには、フランス国旗をイメージした赤と青の線が入っている。天井の太い梁(はり)はそのまま残し、畳の席を設けた。「和モダン」な雰囲気を漂わす店の名は「Bisous(ビズ)」。「キス」の意味のフランス語で、「両国の文化をつなぎたい」というアディエさんのイメージ通りの店に仕上げた。

 アディエさんは、3年前に妻の三恵さん(27)と岐阜市から移住。空き家バンクで見つけた古民家は、いつ壊れるか分からない状態だったが、建物の趣深さと周囲の景観が気に入り、自らの手で改修することを決めた。その後、地域おこし協力隊員になり、任期切れになる今年3月中の開店を目指した。大工仕事で分からないことは地域の職人に助言を求め、インターネットで古民家改修作業の動画を見て研究した。地域住民も温かく応援し、作業を手伝ったり資材を提供したりした。

 「任期中の開店は無理だろう」と内心思っていた協力者らは、想像以上の仕上がりに驚きの声を上げた。アディエさんは「訪れた人の反応を見て、店ができたという実感が湧いた」と話す。メニューは、キッシュやスープ、サラダ、スイーツなど、フランスで好まれている料理をアレンジした。ハーブティーは、アディエさんの出身地から取り寄せた特注品で、砂糖の代わりに町産の蜂蜜を使う。三恵さんは「夫は3年間大工をしていたようなもの。その間に料理の研究も必要だった」と振り返る。

 地域への恩返しはこれからだ。フランスの郷土料理を味わってもらったり、音楽フェスなどのイベントを開いたりしたいというアディエさん。「ここからがチャレンジ。家族やお客さんを幸せにしたい」