2025年8月25日掲載

「健康宣言」から始めよう

 少子高齢化による採用難や、人手不足が原因の倒産が珍しい話ではない現在において、企業が従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践していく「健康経営」に力を入れる企業が増えています。そして、近年では大企業だけでなく中小企業にも健康経営の取り組みは広がっています。

 岐阜新聞社では、全国健康保険協会(協会けんぽ)岐阜支部、岐阜県、岐阜労働局、岐阜県商工会議所連合会などと協力して「ぎふ健康づくり応援プロジェクト」を展開し、健康経営の魅力を広く発信しています。協会けんぽ岐阜支部長の豊田正康氏に、健康経営の現状や進め方を伺いました。

全国健康保険協会(協会けんぽ) 岐阜支部  支部長
​豊田 正康 

健康経営は企業の存続や従業員のウェルビーイングに直結

健康経営において協会けんぽ岐阜支部の状況は?

 協会けんぽ岐阜支部では、健康経営に取り組む事業所をサポートする健康宣言事業「協会けんぽと健康宣言」を行っています。岐阜支部には、従業員10人以上の事業所が約8000社加入していますが、そのうち1500社以上が宣言をしており、多くの事業所に関心を持っていただいております。

 ちなみに経済産業省の健康経営優良法人の中小規模法人に申請する際は、協会けんぽの健康宣言事業への参加が必須となっています。協会けんぽには中小企業が多く加入されていますが、今年3月に発表されました健康経営優良法人2025の中小規模法人部門では、支部加入の健康宣言事業所のうち約25%が認定されました。協会けんぽ全体では約16%が認定されているので、大規模法人と中規模法人の偏りはあるかもしれませんが、岐阜支部では健康経営に積極的に取り組んでいる事業所の割合が高いと言えると思います。

資料①

※ブライト500は2021年、ネクストブライト1000は2025年から開始

 なお健康経営優良法人2025の中小規模法人部門で支部加入の事業所は、全国の上位500の企業に付加される「ブライト500」に8事業所、新たに設定された「ネクストブライト1000」に17事業所がそれぞれ認定されており(資料①)、高いレベルで取り組みされている事業所もいくつかあります。

健康経営へのサポート状況は?

 職場における事業所の健康度・リスクを見える化した事業所カルテの提供や、職場での健康づくりを支援する出前講座などを行っています。本年度の出前講座は昨年度から回数を10回増やし全60回企画したのですが、大変好評でありすでに受付を終了しています。次年度以降も増やしていきたいと考えています。

資料②

 昨年11月からは、岐阜支部のLINE公式アカウント(資料②)からも健康情報(メンタルヘルス、睡眠、飲酒、運動など)や健康診断に関するトピックスを配信しています。7月末現在で4000人ほどがお友だち登録してくださっています(全国6位)。

 来年度からは、被保険者(従業員)の人間ドックの費用補助を開始予定です。補助額は一人当たり2万5千円です。県内の医療機関ですと、基本的な内容であれば3万円台が目安となっていますので1万円前後の自己負担額で人間ドックを受けることが可能になります。ぜひ、人間ドックを受けて病気の早期発見、早期治療につなげてください。

協会けんぽ加入事業所が健康経営を始めるには?

 健康経営を行うには、経営者が率先して指揮を執ることが必須です。しかし、それだけでは難しく、従業員の中にも中心となって進めていく人を立てて、チームで進めていくことが成功の鍵です。

資料③

 具体的な内容ですが、まずは「協会けんぽと健康宣言」からお願いします。宣言と聞くと難しいものを想像されるかもしれませんが、はじめは取り組む目標を設定の上でエントリーシートをご提出いただくだけです。後日、宣言書(資料③)をお送りしますので、それを社内外へ発信しつつ、宣言内容にお取組みください。健康経営優良法人2026の申請受付は、今月18日に始まっています。申請する、しないに関わらず、認定要件を参考にして取り組むのも手だと思います。

 健康経営は、従業員の健康を土台にして、働きがいや組織の活性化を促進するものであり、ウェルビーイングの実現に向けた重要な第一歩となります。経営者の皆様の積極的な関わりに期待しています。
 

※「健康経営®」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。

健康経営優良法人の認定要件など詳しくはこちら

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わたしたちは、ぎふ健康づくり応援プロジェクトに参画しています