人の生活圏にクマが出没した場合、自治体の判断で発砲が可能となる「緊急銃猟」制度が1日、始まった。クマの保護や管理に詳しいハンターや専門職員の不足は各地で課題となっている。環境省は来年度予算の概算要求に、専門人材の雇用や育成、体制構築の支援を新たに盛り込んだ。

 自治体への交付金は市町村が緊急銃猟に対応するハンターを会計年度任用職員として採用する人件費に充てられるほか、市町村主催の訓練や研修会開催にも活用できるようにする。

 また、都道府県でクマやシカなどの指定管理鳥獣の出没対策に当たる専門職員の雇用も可能とする。環境省の担当者は「緊急銃猟を実施する市町村への応援要員としても想定している」と話す。

 環境省が7月に公表した指針によると、緊急銃猟の発砲による建物や乗り物の物損は市町村長が補償するとし、同省は保険の加入費補助を始めている。

 東京海上日動火災保険は発砲による物的被害について、自治体向け保険での補償の提供を9月から開始。既に100以上の市町村が加入の意向を示しているという。