大阪・関西万博会場で開かれた、小泉八雲の生涯をたたえる音楽イベント=8日午後、大阪市此花区の夢洲
 大阪・関西万博会場でのイベントを前に、取材に応じる小泉八雲のひ孫の凡さん=8日午後、大阪市此花区の夢洲

 大阪・関西万博会場で8日、アイルランドと日本にゆかりのある明治時代の文豪小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の生涯をたたえる音楽や踊りを両国のアーティストが披露した。ひ孫の小泉凡さん(64)が招待され、両国をつなぐ曽祖父に思いをはせた。

 八雲は少年期をアイルランドで過ごし、米国などを経て来日。日本で妻セツと出会い「怪談」などを執筆し、日本文化を世界に伝えた。八雲の想像力の根源はアイルランドで乳母が語ったケルト民族の妖精の物語とされる。

 会場のステージでは、両国の演奏家に日本の太鼓奏者や盆踊りダンサーらが加わり、八雲をたたえるパフォーマンスを披露。観客が拍手を送り、大歓声に包まれた。

 凡さんは取材に、八雲が作品で東洋と西洋の生者と死者の世界を描いたのは、両国が大切にしてきた「見えざるものの文化」が土台になったと指摘。「分断と言われる現代に八雲の作品が求められている」と強調した。

 セツをモデルにしたNHK連続テレビ小説「ばけばけ」の放送が今月29日から始まる予定で、八雲が注目を集めている。