イタリアパビリオンが伊東マンショのアンドロイドに関する討論を開催

 

*人間とロボットの関係に注目

 

【大阪2025年9月17日ANSA=共同通信JBN】2025年大阪・関西万博のイタリアウイーク開会式で公開されたイタリアパビリオンの伊東マンショ(Ito Mancio)のアンドロイドは「サイエンストーク:伊東マンショロボット(Science Talk: Ito Mancho Robot)」のイベントで、テクノロジー、倫理、哲学についての討論を引き起こしました。

 

ビジターの体験の一環となったアンドロイドは、イタリアパビリオンと大学教授でプロデューサーの石黒浩(Hiroshi Ishiguro)氏によってキュレートされたシグネチャーパビリオン 「いのちの未来(Future of Life)」のコラボレーションによって生まれました。

 

この討論は、科学と哲学のコミュニティーの重要な代表者の声を通して、現代と未来、人間とロボットと神の関係性、異なる文化、特にイタリア、アジア、日本文化の倫理的視点についての考察につながりました。

 

ロボット工学者で、大阪大学・基礎工学研究科(Intelligent Robotics Laboratory)のディレクターでもあり、自身をモデルとしたヒューマノイド(ジェミノイド(Geminoid))を開発したことで知られる石黒氏に加え、スピーカーには、高野山蓮華定院の権大僧正で高野山大学の前学長の添田隆昭(Soeda Ryusho)氏や、イタリア工科大学(IIT)のディレクターを務めるジョルジオ・メッタ(Giorgio Metta)教授が含まれました。

 

ミーティングでは、イタリアパビリオンの文化部門代表であるロッセラ・メネガッツォ(Rossella Menegazzo)氏が司会を務めました。

 

石黒教授は「パビリオンの最も大切な役割は、例えば、これらのロボットや人工知能のテクノロジーが誰にでもアクセスできるものになったら、どのように利用されるのかと考えることです」と強調しました。

 

「パビリオンは、そのようなことを考えてもらうために考案されました」と言及しました。

 

添田隆昭氏は「これまでに、私たちは死後の世界のために『位牌(死者の記念碑)』を作りました。このように私たちは死者をしのぶのです。石黒教授が以前おっしゃたように、私は将来、死者を弔うために利用することのできる一種のアンドロイドが登場すると思います」と強調しました。

 

この討論は、2025年大阪・関西万博のイタリア政府代表(Commissioner General)であるマリオ・バッターニ(Mario Vattani)氏によって進められました。同氏は「イタリアパビリオンと石黒氏のパビリオンは、私たちが成功させ、今日に至るまで私たちにインスピレーションを与えてくれたこの実験によって結び付いているため、今では友人のような存在になっています」と述べました。

 

また、同氏は「私たちはこの経験から多くを学びました。ここ大阪にプラットフォーム、プロモーションのツール、出会いの場を持てたことは本当に意味深かったです」と言及しました。

 

IITのディレクターは「私は今日、素晴らしい組み合わせを発見しました。まず、私たちがこのような機械を開発し、ヒューマノイドロボットを作る理由です」と述べました。

 

またメッタ教授は続けて、このようなロボットは、将来的に「過去の記憶」や「過去に置いてきたもの」になる可能性があるものの「仕事に役立つ」可能性もあるので、実用的な理由で「私たちが明確に開発しているテクノロジーであるため、広く利用される」可能性があると説明しました。

 

2025年大阪・関西万博のイタリアパビリオンのゴールドスポンサーであるBraccoのFabrizio Grillo広報・国際関係部長および奈良国立博物館のディレクター、Morishige Uda氏によるスピーチで、イベントは締めくくられました。

 

Morishige氏によると「このアンドロイドは、自身を描いた絵と対話するためにここにいて、人間であることの意味、私たちの歴史と文化の大切さを理解させてくれます。この場所にアンドロイドが存在していることで、私たちが人間であることについて深く考えるきっかけとなるのです」

 

ソース:General Commissioner’s Office of Italy for Expo 2025 Osaka