阿部文科相からの電話を誤って切ってしまい、戸惑う京都大の北川進氏(右から2人目)=8日午後8時28分、京都市左京区

 新しいことへのチャレンジが科学者の醍醐味―。京都大特別教授の北川進さん(74)のノーベル化学賞の受賞が決まった。一時は懐疑的な目を向けられ、たたかれたこともあった。それでも自身の研究にこだわり続け、つかんだ最高の栄光。記者会見では、子どもたちに向けて、いろいろな経験を大切にすることで「将来花が開く」とエールを送った。

 「こんな栄誉を頂き感激している。皆に感謝したい」。午後8時ごろ、京都市左京区の大学内の会見場に拍手で迎えられながらスーツ姿で現れた。会見の冒頭で口にしたのは、家族や研究仲間への感謝だった。

 最初は緊張した面持ちで始まったが、受賞決定の電話を取った時の気持ちを記者から問われると「たまった仕事を片付けていた。何かの勧誘と思い、不機嫌に」。突然の冗談めかした答えに会場から笑い声が上がり、自身も表情を緩ませた。