運転開始から40年を超える関西電力高浜原発1、2号機(福井県高浜町)と美浜原発3号機(同県美浜町)の運転期間延長を認めた国の審査は不当だとして、福井、愛知両県などの住民が延長認可の取り消しを求めた2件の訴訟の控訴審第1回口頭弁論が9日、名古屋高裁で開かれた。国側は請求棄却などを求め、争う姿勢を示した。

 原告側は「原判決は東京電力福島第1原発事故の反省と教訓を踏まえていない」として、原子力規制委員会の判断を追認した一審判決は誤りだと主張した。

 国側は、保安規定変更認可取り消しの請求は、制度変更で訴えの利益がなくなったとして却下を求め、その他の控訴は棄却されるべきだとした。

 原子炉の劣化や地震などのリスクに関する審査の妥当性が争点。3月の名古屋地裁判決は「規制委の審査や判断に不合理な点は認められない」として原告の訴えを退けた。延長認可の他に「工事計画」「設置変更」「保安規定変更」の三つの許認可の取り消しも認めず、原告側が控訴していた。