茨城県水産試験場でボタンエビの養殖を担当する水谷宏太主任=10月、茨城県ひたちなか市
 茨城県水産試験場が養殖に成功したボタンエビ=8月、同県ひたちなか市(同試験場提供)

 茨城県水産試験場(同県ひたちなか市)が、卵からふ化させたボタンエビを出荷サイズまで育てる養殖に成功した。県によると、全国初という。生産コストの削減に向けた試験に取り組み、県内事業者への技術移転も目指す。市場での高い商品価値が見込まれ、担当者は「新たなブランド水産物に育てたい」と意気込む。

 ボタンエビは、国内では福島県以南から鹿児島県までの太平洋側の、水深200メートル以上の深海に生息。身が甘くてとろけるような食感が特徴で、料亭や高級すし店で扱われる。1キロ当たり3千〜4千円で取引され、1万円台の高値が付くこともある。

 試験場は、21年度から養殖技術の開発に本格的に着手した。茨城県沖の天然ボタンエビから卵を採取し、ふ化、飼育に取り組んだ。約1200匹のうち今夏までに18匹が約3年かけて出荷サイズの体長10センチ程度に成長した。

 水谷宏太主任(31)は「天然に勝るとも劣らない養殖エビを食べてもらえるよう取り組みたい」と力を込めた。