RSウイルス感染症のワクチンについて議論する厚労省の専門部会=19日午前、東京・霞が関

 厚生労働省の専門部会は19日、せき、発熱などの風邪症状や肺炎の原因となるRSウイルス感染症で新生児や乳児の重症化を予防するため、妊婦を対象にしたワクチンの定期接種を来年4月から始める方針を了承した。妊婦に接種し、生まれた子どもに効果が出る「母子免疫ワクチン」の定期接種化は初めて。

 妊娠28〜36週の女性に1回注射することで、胎盤を通じて胎児に抗体が移行。出生後、乳児が気管支炎や肺炎などで重症化するのを防ぐ効果が期待される。これまでの任意接種では費用は自己負担だったが、定期接種では公費で支援が受けられる。

 RSウイルスは、多くの人が幼いうちに一度は感染する。通常は発症から約1週間で良くなるが、乳幼児や免疫の働きが弱い高齢者は重症化することがある。

 ワクチンは出産14日前までに接種を完了することが望ましいという。厚労省は、早産や死産などの重篤な副反応に関し、重大な懸念は認められないとしている。接種時に胎児であっても、出生後に副反応が出た場合は、医師による報告や救済対象とすることも確認した。