奈良地裁

 安倍晋三元首相銃撃事件の裁判員裁判第11回公判が25日、奈良地裁で開かれ、被告人質問が行われた。殺人罪などに問われた山上徹也被告(45)は安倍氏を狙った理由に関し、同氏が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の友好団体にビデオメッセージを寄せたことで、教団が「社会的に認められてしまうと思った」と説明。当時の心情を問われ「絶望と危機感かと思います」と述べた。

 弁護側などによると、動画は2021年に教団の友好団体のイベントに寄せられたもので、安倍氏が「韓鶴子(旧統一教会)総裁らに敬意を表します」と話していた。

 公判で被告は、安倍氏が非常に長い期間、首相を続けたとし、「一度(動画に)出た以上は、ずっと出続けるのではないか」と懸念を抱いたと明らかにした。「非常に悔しいというか、受け入れられない」と述べた。

 また、15年に自殺した兄にも言及。警察署で遺体と対面した時を振り返り「助けてやれなかった、突き放してしまったと、自分の罪悪の象徴のように思った」と述べた。兄は母親の献金に不満を持っていたとも明らかにした。