重度の知的障害があるてんかん患者の女性が医療保護入院中に死亡したのは医療ミスが原因だとして、両親が入院先の病院を運営する学校法人昭和医科大や薬剤師らに計約3300万円の賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は18日、病院側の責任を認め、逸失利益を含め計約1400万円の支払いを命じた。

 判決によると、女性は2020年に医療保護入院。てんかんの発作を起こし、多臓器不全で翌年31歳で死亡した。

 園部直子裁判長は、持参した薬やお薬手帳の確認を薬剤師が怠った注意義務違反があり、抗てんかん薬が処方されていれば死亡は回避できたと判断。女性に福祉施設での就労歴があり、グループホームに通い自立して生活する予定があったことを踏まえ、約238万円の逸失利益を認定した。死亡の慰謝料などを加え、賠償額を算定した。

 病院側は注意義務違反を否定し、女性に就労に必要な能力はなかったとして、逸失利益は生じないと主張していた。