整然と並ぶ編み機。新旧の編み機の特性を生かして靴下を作っている=関市保明、東洋繊維
蒸気を当てて成型する機械に編み上げた靴下をセットしていく従業員
釣り用や美濃和紙の糸を織り込んだ靴下など、豊富なラインアップをそろえる自社製品

 靴下製造の東洋繊維は、履き心地を追求した製品づくりに定評があり、相手先ブランドによる生産(OEM)では、アパレルからスポーツ向けまで幅広く取り扱う。豊富なラインアップを可能にするのが、全国的にも珍しい全ての工程を備えた一貫生産体制。多品種小ロット生産に対応するほか、用途別、足にフィットする寸法にきめ細やかに対応できるのが強みだ。

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 最初は靴下を編む工程。工場に足を踏み入れると、編み機が約40台が動いており、リズミカルで小刻みな機械音が響く。最新式の編み機は、メインの糸と伸縮性がある裏糸に加え、ゴム糸や柄糸の最低4種の糸を使い、プログラミングされた通りに複雑な編み込みをする。糸の張りや、わずかな誤差が命取りになる工程で、つま先、かかとなど、5カ所の寸法確認は欠かせない。水谷陽治専務(45)が「一つの目でも編み損じがあると不良品になってしまう。気が抜けない」と話す肝の工程だ。

 編み機の一角に目を向けると、レトロな旧式の編み機も稼働していた。用途や編み方ごとに、新旧の機械を使い分けており、旧式は複数の色糸で編み込み、裏地がきれいなジャガード編みをはじめ、百貨店やセレクトショップで好まれるデザイン性の高い商品に向いているという。最新式はクッション性の高いパイル編み、段階着圧タイプなど機能を付加するスポーツ向けの編み方が可能だ。兄で3代目の水谷顕治社長(49)は「旧式には、旧式しか出せない独自の風合いがある。守り続けてくれた祖父や父に感謝したい」と語る。

 最新式は編み機から出てきた段階で靴下の形をしているが、旧式はつま先から口ゴム部分までがひとつなぎになった筒状で出てくる。次の工程で継ぎ目の糸を1本抜いて1足ずつに切り離すと、つま先の部分をミシンで縫製する先縫いの工程に行く。つま先の部分を縫い合わせると、ようやく靴下の形になる。

 検品を経て、成型・セットと呼ばれる工程に入る。1度に10足分20枚を足型の金具に装着し、約110度の蒸気と圧力をかけた後、乾燥させる。しわがなくなり、かかとの形がしっかりと整う。陽治専務は「履き心地につながる伸縮性が、この段階で理想の状態になるように編む工程から計算している」とこだわりを口にする。その後、左右の靴下をペアにして出荷される。

 技術力の高さを生かして釣りに適した防水性のある高付加価値製品、美濃和紙の糸を使った製品も自社ブランドで展開している。現在は電子商取引(EC)サイトでの販売が中心だが、陽治専務は「将来的には直営店を併設し、人を呼び込む拠点にしていきたい」と力を込める。

 【工場概要】1937年名古屋市内で設立。45年に強制疎開で岐阜市内に移転した。その後、関市内に移転し、90年に本社機能などを集約して現在の本社工場になった。敷地面積は約250平方メートル。年間約30万足の生産が可能で、生産量全体に占める自社ブランドの比率は約5%。工場の従業員は約30人。関市保明。