「預けバッチ」で原料の硬さを均等にする従業員
ハーブの精油を取り出す蒸留装置
あめを1個ずつの大きさに自動でカットする装置=いずれも大垣市浅草、鈴木栄光堂大垣工場
自社工場で抽出した精油を使った商品「ハーブ農園から」

 工場に一歩足を踏み入れると、マスクをしていてもハーブの独特の香りやグラニュー糖などの甘い香りが漂っている。鈴木栄光堂大垣工場は、自社ブランド商品と相手先ブランドによる生産(OEM)を手掛けるあめの専用工場だ。

 工場でまず案内されたのが、原料の生産工程。グラニュー糖と水あめを大きなミキサーのような装置で混ぜて熱を加え、水分を飛ばして固形にする。その後、できた原料を冷やされた鉄板にのせて、冷やしながら上からと左右から規則的にプレスしながら味や色付けが均等になるように混ぜ合わせる。見ていると、まるで機械で餅つきをしているかのようだ。

 

 ここからが、あめ製造の最大のポイントとなる工程になる。ある程度混ぜた原料を、いったん「預けバッチ」と呼ぶ細長い金属製の器に移して、ベテラン作業者が硬さにばらつきがないかを手で確認し、手作業で一定の硬さに調整する。

 この作業を丁寧に行うことで生きてくるのが、次の工程だ。出来上がった原料を複数のローラーで、徐々に伸ばして細長いロープ状にする。原料が軟らかいと伸び過ぎてしまい、不具合の原因になる。福井一郎製造部長(48)が「硬さの最終的な調整は人でないとできない」と話すように、ここではベテランの作業者が欠かせない。

 伸ばした原料は、そのまま金具に流して1個ずつあめの大きさにカット。人による検品作業を終えた後、機械で1個ずつ包装していく。検品作業を終えたばかりのあめをビニール越しに触らせてもらったが、まだほんのり温かさが残っていた。

 実はこの工場の最大の特長は、あめを作る工程ではない。原料に入れるハーブの精油を取り出す蒸留装置を持つ点が、他のメーカーにはないところだ。蒸留装置で生のハーブから精油を抽出して使うことで、ハーブ本来の香りが楽しめるあめが製造でき、トレーサビリティー(生産流通履歴)も徹底できる。購入した精油を使うと、原材料の欄には香料としか記載できないが、蒸留から行うことでハーブの名称が記載でき、差別化にもなる。

 今は小規模な装置を使い、6キロの国産ハーブから3時間かけて6~36グラム程度の精油を抽出。3月に自社の精油を使った初めてのあめ「ハーブ農園から」を試行的に関東で販売したばかり。今後、自社の精油を使った付加価値の高い商品展開を本格化する考えで、福井部長は「あめの市場は競争が激しい。ニッチだが原料からこだわって差別化していきたい」と話している。

 【工場概要】2004年に新設し、稼働。敷地面積は2213平方メートル。鈴木栄光堂の国内唯一のキャンディー工場。ベトナムのキャンディー工場で低価格品、大垣工場では高付加価値品を生産する。本社機能も同所にあり、本社工場でもある。月に平均30トンを生産。工場の従業員は28人。大垣市浅草。