陸軍青年将校らが首相官邸などを襲撃した1936年の二・二六事件から90年。岡田啓介首相と間違われ、殺害された松尾伝蔵大佐(享年63)をしのぶ献花祭が、岡田氏と大佐の出身地・福井市で今も続いている。大佐のひ孫の松尾沢子さん(54)は「語り継いでいただき、感謝の気持ちに尽きる」と話す。
松尾大佐は陸軍出身で事件前の34年、首相に就任した義兄の岡田氏の秘書になった。ボディーガード役を務め、髪形やひげなどを岡田氏に似せ「総理(首相)が死ぬ前に俺が死ぬ」と口にしていたとの逸話が残る。36年2月26日、首相官邸を襲撃した反乱軍に岡田氏と誤認され、射殺された。岡田氏はその後、官邸を無事脱出した。
「頑固だが、いつも周りのために行動していた」。沢子さんら遺族に大佐のこうした人柄が伝わる。首相秘書になる前は福井市議などを務め、郷土史によると、事件後に市内で営まれた大佐の葬儀には約2万人が参列した。
献花祭は82年以降、悪天候の場合を除き、毎年市内で開かれている。










