名古屋商工会議所
名古屋商工会議所の調査で、シンナーや塗料、潤滑油など石油化学由来製品の調達難や価格高騰が製造業・建設業・運輸業を中心に広がり、価格転嫁や賃上げにも影響を及ぼしている実態が明らかとなった




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調査の目的・レポートのねらい
 中東情勢の緊迫化を受け、原油価格や資材価格の高騰、石油関連製品の供給不安などが企業活動に影響を及ぼしています。 
 政府からは原油やナフサの供給に大きな支障は生じていないとの見解も示されていますが、中小企業の現場では価格高騰のみならず、資材不足や納期遅延、さらには調達の停止など、事業活動への影響が広がっています。
 そこで、中東情勢の緊迫化が企業活動に与える影響の実態を把握するため調査を実施しました。
 なお、本レポートは「第57回定期景況調査」の結果から関連設問を抜粋し、企業の実態と課題を整理したものとなります。
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景況感・賃上げの動きについてはこちら(本記事にない内容も含みます)
サマリー



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第57回定期景況調査(2026年4~6月期) 概要
調査期間:5月12日(火)~29日(金)
調査方法:インターネット調査
回答企業:1,446社



主な調査結果

(1)影響の実態

7割以上が「影響あり」と回答。業種別では運輸・製造・建設業への影響が顕著
全体の76.4%が「影響あり」と回答し、そのうち32.2%に大きな影響があることがわかりました。
業種別にみると、運輸業は96.5%、製造業は88.3%、建設業は87.5%が「影響あり」と回答しています。一方で、BtoC企業(サービス業)への影響は限定的となりました。

※運輸業、小売業は母数が限られています


物不足が深刻化し、9割超の企業で仕入れ価格の高騰が発生している
仕入れ・調達面の影響としては、「入手可能量の減少」が65.5%、「納期の遅れ」が52.1%と過半数に達しました。「調達の停止」も29.7%の企業で発生しており、物不足が深刻化しています。
価格面の影響(仕入価格の上昇)が発生していると回答した企業は92.7%となりました。

※ 分析対象:中東情勢の緊迫化による(大きな/一部)影響があると回答した企業


石油化学由来の原材料・部品・商品が最大のボトルネック
仕入れ・調達面、価格面ともに影響が大きい品目としては、石油化学由来の原材料・部材・商品が挙げられました。仕入れ・調達面では81.2%が「石油化学由来の原材料・部材・商品」と回答し、価格面でも「石油化学由来の原材料・部材・商品」が2割以上値上げしていると回答した割合が72.0%にのぼっています。




業種ごとの実態として、特に中東情勢の影響が顕著だった運輸・製造・建設業を見ていきます。

【運輸業】エネルギー(原油・燃料等)の調達・価格高騰が重荷になっている
全体の結果とは異なり、「エネルギー(原油・燃料等)」の調達難及び価格の高騰が最も大きな課題となりました。

※ 運輸業は母数が限られています


【製造業】影響の広がりから先行きへの懸念が高まっている
仕入れ・調達面で影響が出ている品目として「シンナー」「塗料」「油・潤滑油」などがあげられました。価格面でも「石油化学由来の原材料・部品・商品」が2割以上値上げしていると回答した企業が82.6%にのぼっています。

※ ユーザーローカル テキストマイニングツール( https://textmining.userlocal.jp/ )による分析


【建設業】資材高騰と調達難が重なり、売上への影響も発生している
仕入れ・調達面で影響が出ている品目として「塗料」「シンナー」などがあげられました。価格面でも「石油化学由来の原材料・部品・商品」が2割以上値上げしていると回答した企業が83.0%にのぼっています。

※ ユーザーローカル テキストマイニングツール( https://textmining.userlocal.jp/ )による分析

(2)対応状況と限界

打ち手は「価格転嫁の実施」が最多だが、効果は限られる
対策を講じている企業は31.7%となりましたが、効果を実感できているのは全体の7.1%にとどまる結果となりました。対策の内容は68.9%が「価格転嫁の実施」と回答しました。

※ 分析対象:中東情勢の緊迫化による(大きな/一部)影響があると回答した企業


約6割の企業が十分に価格転嫁できていない
しかし、コスト上昇に対して価格転嫁できた割合が「5割未満」の企業は59.2%にのぼり、十分な価格転嫁はできていない状況です。
「5割未満」と回答した企業からは、価格交渉に応じてすらもらえないといった声や9月以降の価格改定を検討しているもののコスト上昇分をすべて転嫁することは難しいといった声が聞かれました。

※ 分析対象:中東情勢の緊迫化による(大きな/一部)影響があると回答した企業


中東情勢の緊迫化が「賃上げの流れ」に強力なブレーキ
賃上げを「実施した・もしくは実施する方針である」と回答した企業は59.2%となりました。前回調査(1~3月期)では、71.0%の企業が賃上げを見込んでいましたが、今回の結果では11.8pt下降する結果となりました。




資金繰り支援と正確な情報提供へのニーズが高まっている
足元では資金繰りDIが今期8.1pt悪化し、来期も悪化を見込む見通しとなっています。 建設・運輸業を中心に幅広い業種で資金繰りの相談があり、5月は先月比で倍増しているとの声が金融機関からも聞かれました。企業の声としても、運転資金の必要性や今後の見通しについての情報提供を求める声が上がりました。



(3)考察

供給面の問題が深刻化
 今回の調査から、資材不足や納期遅延、調達停止など供給面の問題が広範囲で発生していることが明らかとなりました。
 運輸業では燃料や資材の価格高騰・調達難が、製造業建設業ではシンナーや塗料、潤滑油など石油化学製品の不足が深刻化しています。
 石油化学由来製品は幅広い工程で使用されるため、一部資材の不足が生産や工事全体の停滞につながりかねません。また、供給量が限られる局面では調達力の高い企業に資材が集中しやすく、中小企業ほど必要な資材を確保しにくい状況が伺えます。
価格転嫁だけでは対応に限界
企業の対応策として最も多かったのは価格転嫁でしたが、約6割の企業が十分な転嫁を実現できていません。価格転嫁の遅れや資金繰り悪化は企業の収益を圧迫し、賃上げ機運にも影響を及ぼしています
 名商としては、こうした実態を中部経済産業局や愛知県・名古屋市へ届けるとともに、必要な支援策の実現を働きかけていきます。

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