岐阜県関市の津保川中学校が、2018年に同級生からいじめを受けた男子生徒(当時1年)の事案を巡って十分な初期対応や事実調査をせず、生徒へのいじめ行為を2年以上も認めていなかったことが、昨年11月に第三者委員会が取りまとめた調査報告書で明らかになった。学校はいじめの存在を否定していたが、市教育委員会は21年1月、生徒の保護者の代理人から申し立てを受け、この事案をいじめ防止対策推進法に基づく「重大事態」と認めた。専門家は「初期段階で十分な事実調査をすべきだった」と指摘する。

 報告書によると、生徒は18年5月から9月まで複数の同級生から筆箱を隠されたり、シャープペンを勝手に使われたりするいじめを受けた。生徒の保護者が同9月にいじめを訴え、学校は加害生徒5人の聞き取りなどを実施。4人は謝罪したが、1人はいじめ行為を否定した。学校は生徒同士のけんかと認識し、生徒の保護者に「いじめはなかった」と回答していた。

 生徒は1年生の途中から学校を休みがちになり、2年生は登校して別室で授業を受けていた。3年生になっても学校の認識が変わらないことから、6月以降は不登校になった。申し立てを受けた市教委は、生徒の「年間30日以上の不登校」が同法の規定する「重大事態」に該当すると判断。市教委の指示で、学校は21年2月に調査のための第三者委員会を設置した。

 報告書では、学校の事実調査について「聴取事項も不十分で、学級全体へのアンケートも検討すべきだった」と学校側の対応の不備を指摘。生徒の1年時の年間欠席数が30日以上だったことに触れ、「この時点でいじめの重大事態について検討すべきだった」としている。

 市教委は昨年11月、調査結果を生徒や保護者に説明し、謝罪。今年1月には、同校の当時の校長や生徒指導主事らを口頭で指導した。市教委は取材に対し、「学校は生徒同士のふざけ合いという認識で対応していた。初期対応が不十分だった」と説明した。

 県いじめによる重大事態再調査委員会の委員で、中部学院大の宮嶋淳教授(児童福祉)は「いじめの認定までに長い期間を要すれば、関わった生徒たちの記憶も薄れ、都合の良い解釈による事実誤認が生じやすくなる」と指摘。学校側の対応には「いじめの認定まで至らなかったが、指導後も生徒たちに寄り添って注意深く見守る姿勢があれば、重大事態に発展しなかったのではないか」と話した。