土石流と洪水で泥にまみれて損壊した建物が見られる被災地=29日、ネパール・ビドゥール(共同)
 ネパール、ヌワコト郡ビドゥール、中国、氷河崩落現場

 【ビドゥール共同】普段は穏やかな川が、大規模土石流から3日を経てもなお、ごう音を立てながら茶色い濁流を運んでいる。川沿いでは泥にまみれて損壊した建物が廃虚と化し、住民が避難して人影はまばらだった。「集落が死んだ」。友人15人を亡くした男性が嘆いた。氷河崩落が原因と指摘されるネパールの山間の被災地に29日、共同通信記者が入った。

 「ゴオオオ」。ネパール、中国国境の南約50キロ、中部ヌワコト郡ビドゥールの集落にある自宅にいたビル・ガレさん(42)は26日朝、低い音を聞き外に出た。目に飛び込んだのは、しぶきを上げながら木々を押し流す川の激流だった。茶色い水、奥に見える森の深緑、真っ青な空のコントラストを覚えている。

 「晴れている時にこんな濁流は見たことがない。上流で何か起きたに違いない」。家がある約20mの高台から見ていると、川の水があふれ、みるみる高台の下に迫った。平時は川まで200mほどの距離があるが、その間にある銀行や民家が泥水にのみ込まれていった。ビルさんは「友人15人が死んでしまった」とうつむいた。