体重オーバーで競馬学校を休学していた実習生が「笠松でジョッキーになりたい」と再挑戦。一時は「減量苦」で断念する道も考えたが、オルフェーヴルの背中に憧れた小学生時代の大きな夢を捨てられず。笠松の名門厩舎に再びお世話になってゲートイン、新たな一歩を踏みだした。乗り役が不足している笠松では「金の卵」。来春デビューを目指して2度目の実習生として、調教などで騎乗技術の向上に励んでいる。
■「笠松に戻って来いよ」…今年4月にその姿なし
昨年12月の実習終了時には「騎手免許を取得して、また笠松に戻って来いよ」と候補生に声を掛けると「ハイッ、頑張ります」といった声が返ってきたが、今年4月にその姿はなかった。
「どうしたんだろう」。笠松での5カ月間の実習を無事完了して、あとは修了の実技試験をクリアすれば待望のジョッキーとして4月に笠松デビューを果たす予定だった。技術不足やけがとの闘い、体重管理など厳しい世界。年を越して、何らかの理由で挫折してしまったのか。ファンたちも心配していたが、意外な光景が目に飛び込んできたという。
10月初め早朝、笠松競馬場で攻め馬に励む若者の姿があった。目撃したファンによると、オレンジ色の帽子を着用しており、ジョッキーを目指す地方競馬教養センターの実習生のようだ。にこやかなな表情。「まさかあの子では? なんか小林君のような」「まじか、再挑戦あるか」と驚きの声。
調教タイムに堤防上から見守る地元ファンにも注目される存在となった。笠松のジョッキーは現在14人。1人は長期間休んでおり、実質13人。名古屋勢に騎乗を依頼する厩舎も多く、若手の塚本征吾、望月洵輝騎手らはレギュラー級で、リーディング上位に名前を連ねている。
■夢を追って、競馬場実習で笠松に2度目のゲートイン
ネクストスターシリーズ初日の10月6日、「アイドルホース対決」でボッチョが初勝利を飾り、スティルアイライズも元気に完走。装鞍所エリアの騎手控室前には、レースを終えた騎乗者の馬具を磨く若者がいた。「ああ来たのか、やっぱり君だったか」と声を掛けると「ハイッ」と元気な声が返ってきた。やはり小林樹(いつき)騎手候補生だった。「ジョッキーになる夢」を追って、競馬場実習で笠松のゲートを再びくぐったのだ。
今年3月、地方競馬騎手免許試験の新規合格者発表に「小林樹」の名前はなかったため、ファンを残念がらせた。合格者のうち9人は、第107期生として2024年4月に栃木県那須塩原市の地方競馬教養センターに入所。2年間の鍛錬を積んで晴れて合格の日を迎えた。近藤颯羽(そうは)騎手=名古屋・藤ケ崎一人厩舎=、塚本直之騎手=高知・目迫大輔厩舎=らが「サクラサク」の吉報を手にした。
笠松競馬場で実習中の小林樹・騎手候補生は大阪市出身の21歳でもうすぐ誕生日(10月26日)を迎える。高校卒業の翌年、NARの騎手課程に合格。昨夏、笠松が馬場改修中は名古屋で実習。4月にデビューした近藤颯羽騎手とは同期だった。2人は「第107期騎手候補生インタビュー」として名古屋競馬でも紹介された。
小林候補生が騎手を目指したきっかけは「オルフェーヴルのラストランである有馬記念を見てかっこいいと感じ、騎手に憧れて競馬に興味を持ちました。元々、視力が悪くて(規定で)騎手試験を受けられなかったが、コンタクトレンズの使用が認められたので(騎手を)目指してみようと思いました。自分自身未熟ですが、皆さんに愛されるよう、一騎手として地方競馬を盛り上げられるよう頑張っていくので応援お願いします」と意欲を語った。
■きつかった体重管理、騎手免許を取得できず
1年遅れにはなったが、笠松競馬場で再びジョッキーを目指すことになった実習中の小林候補生に聞いた。
騎手として笠松に戻って来るはずだったが、どうして休んでいたのか。小林候補生は「笠松では12月(10日)まで実習に励みます。体重がきつくて基準を超過していましたが、今はかなり楽になりました。休学して実家(大阪市)にいて、ここまで戻って来られるか分からない状態でしたが、昨年と同じ後藤佑耶先生にお世話になっています」。体重管理がうまくいかなかったため騎手免許を取得できず、2度目の笠松競馬場実習となった。
一時は減量が厳しくて心が折れそうにもなった。「途中で体調を崩したりしてうまくいかず、苦労しました。体重は47キロぐらいになりましたが、きついときは51キロとかあって」。教養センター騎手課程の受験資格は47キロ程度が上限だが、昨年の笠松実習では体重オーバー気味で、減量に苦しんでいたのだ。
今年2月の「佐々木竹見カップ ジョッキーズグランプリ(川崎)」の見学にも騎手候補生として参加しておらず。7月ぐらいまで休学していたが、8月には教養センターに戻って、笠松で2度目の実習にチャレンジすることになった。
■来年4月に笠松でデビュー戦を迎える可能性は十分に
通常、騎手候補生の実習期間は7~12月だが「僕は昨年、最後まで笠松にいたので」と実習経験があることで短縮され、10月からになった。今後については教養センターの判断次第になるという。
「じゃあ、来年4月に笠松でデビュー戦を迎える可能性は十分にあるな。笠松には、いい先輩が多いし」と再挑戦する姿を応援したくなった。小林候補生は「歓迎されているかどうかは分からないです。前回いたときは、先輩らに怒られることもいっぱいしましたし」。とはいうものの、一度来ていたということもあって、優しく見守る先輩たちに囲まれてすんなり実習に取り組めているようだ。
笠松は所属ジョッキーが足りないから、一人でも増えた方がいい。昨夏、井口裕貴騎手が「一発合格」で騎手デビューを果たしたが、2年前の明星晴大騎手以来、教養センター育ちのルーキーは笠松で誕生していない。ファンたちも「今年は実習生が来なくて、来年4月デビューはないね」と嘆いていた。
■「後藤佑耶先生がまた面倒を見てもいいと」
10月7日10R、後藤佑耶調教師は明星晴大騎手が騎乗したヴィントミューレで地方競馬通算800勝を達成。口取り撮影では小林候補生が プラカードを持って、騎手らが祝福した。続く11R・オータムカップは飛田愛斗騎手(佐賀)騎乗の8番人気ダグフォースで差し切りⅤ。後藤佑耶調教師は重賞3勝目を飾り、厩舎スタッフの喜びが広がった。
小林候補生にとって2度目となる実習は、また一からで大変だが「2カ月ぐらいですし、優しい先輩ばかりなので、すごく楽しくやらせてもらっています。(5年連続で笠松リーディング2位の)後藤佑耶先生がまた面倒を見てもいいと言ってくださったので。それがなかったら、騎手を目指すことをやめていたんで。他の競馬場へ行こうとは思わず、大学進学も考えていました」と心境を明かしてくれた。早朝の調教タイムには「堤防に誰かいるなあとは思っていましたが。実習の帽子がオレンジなので僕だと分かったようですね」とも。
競馬サークルはなかなか厳しい世界で「それは実感しました。甘い世界じゃないです。僕がやるべきことをやっていなかったので、1年遅れたという結果になって。自分自身、体重調整で緩いところがあったので。やり直すなら『1年下の期(108期)に転入して』とのことで、それを選びました。笠松に戻って来られて良かったです」と再び夢に向かって歩み始めた。
「実習2年目ですが、一時は他の道も選ぼうとしていました。第一、体重が厳しかったので。でも来年春デビューできれば(22歳で)大学の新卒者と同じになります」。笠松では後藤佑耶厩舎の井口騎手のように「異色の大卒ルーキー」として30歳でデビューした者もいるし、年齢は関係ない。どれだけ馬が好きで乗りたいかで決まるので、けがなく末永く乗っていきたい。
最近は新人騎手でも1年目からバンバン勝つ者もいるし、実力の世界だ。笠松競馬場は今後リニューアルされる計画もあり、小林候補生は将来そういう時代を背負うジョッキーになれるといい。
■体重調整失敗で騎乗停止、苦労するジョッキー多い
ただジョッキーには体重面で苦労する者も多い。井口騎手は170センチ長身で、今年4月以降に体重調整失敗で騎乗停止が3回もあった。苦労してつかんだジョッキーの座は大切にしてほしくて、装鞍所で「みんな応援しているから頑張って」と激励したこともあった。現在通算28勝で、減量騎手としての「2キロ減」まであと3勝。クリアすれば体重管理はやや楽になる。
また昨年2月には、デビュー戦を笠松での期間限定騎乗で迎える予定だった道営の渡辺準己騎手も体重調整失敗のため騎乗停止となり、そのまま笠松を去った。
小林候補生も体重面でジョッキーへの道が厳しくなっていたが、減量に努めて再チャレンジ。調教では「失敗もするんですけど、馬に乗って楽しいと思えることも多いので。名古屋にはデビューしてからは手伝いにも行けます。昨年は榎屋充先生にお世話になりました」。近年は名古屋、笠松の騎手交流が盛んで一体化している。「名古屋の騎手は僕のことを知っている人も多いです。笠松では期間限定騎乗中の2人(『浦和のマイケル』さんら)とも話したりして楽しくやらせてもらっています」
■小林候補生が追い切った馬で渡辺騎手「通算1400勝」
ボッチョが初勝利を飾った直後の4Rはうれしい結果となった。「見習騎手」として小林候補生が追い切りで乗った5番のタイセイバウンスが笠松移籍初戦で逃げ切り勝ちを決めたのだ。渡辺竜也騎手が騎乗。お世話になっている後藤佑耶厩舎の所属馬で、中央未勝利から新天地を求めて転入。追い切りでは馬なりでラスト3F12秒5の好タイムだった。
「僕が乗った馬が勝ってくれて良かった。持ったままで時計がすごかったです。乗りやすい馬で、竜也さんにも『調子いいです』と言っちゃって」。その渡辺騎手に「小林君がすごく喜んでいたよ」と伝えると「相手も弱かったが、調教が良かったです」とうれしい言葉。この1勝は渡辺騎手にとって「地方競馬通算1400勝」のメモリアル勝利にもなった。
渡辺騎手「祝1400勝」の口取り記念撮影には小林候補生も参加。笠松、名古屋のジョッキーたちと一緒に勝利を祝った。プラカードの数字は仲のいい騎手がわざと「4100勝」にしたりして、さすがに「勝ち過ぎやろう」と和やかムード。4Rは「熊本地震被災地支援レース」としても実施され、馬券発売額の1%相当額が義援金として日本赤十字社を通じて寄付される。
小林候補生、笠松の門を再度たたいてくれて本当に良かった。厩舎スタッフや先輩ジョッキーらにアドバイスを受けながら再挑戦。「頑張ります」のポーズでジョッキーの夢実現を力強く誓っていた。
■「規定体重をクリア、教養センターで再教育も受けた」
地方競馬教養センターでは小林候補生について「(騎手免許交付基準となる)規定体重の面で修了できず、休学していましたが、今夏クリアしてきた。1年遅れたが、教養センターで1カ月間、再教育も受けました。(競馬場実習は)昨年かなりの期間をやっているので、技術的にはいいレベルにある。前向きになっており、体重調整の面でもメンタル的に良くなっている」とのことだった。
■笠松の調教は午前0時スタート、1人で30頭前後
ここからはレース本番に向けた調教タイムでの小林候補生の実習の様子と、一仕事を終えた本人や先輩たちの声も拾い集めた。
笠松の調教はメチャ早く午前0時にスタートし、8時ごろまで続けられる。1人で30頭前後こなす騎手もいて、1頭約15分刻みでフル回転。先輩たちに交じって攻め馬に励む小林候補生の姿もあった。
将来は厩舎の兄弟子にもなる明星晴大騎手と並んで、馬なりで調整。時には乗り方の指導を仰いだり、歓談したりしてにこやかな表情も見せながら攻め馬が楽しそう。レース本番に向けた追い切りで騎乗馬を仕上げることもあり、タイセイバウンスの勝利では喜びをかみしめていた。レース自体にはまだ乗れないが、攻め馬に励むことがいまの彼にとって最も大切な時間。1頭でも多く乗って各馬の癖をつかみ、経験をより多く積み重ねて騎乗技術を向上させていきたい。
調教を終えた明星騎手は「(小林候補生は)頑張っていますよ。ちゃんとやっています」とのことで、笠松の地で再び力強く着実なステップを踏みしめている。松本一心騎手は「昨年も来て乗っているから、ある程度乗れていますよ。(何か問題など起こさず)おとなしくしとけば、あとは体重さえ何とかなれば大丈夫だと。騎手も足りないので、攻め馬を手伝ってもらっています」。先輩若手騎手2人も候補生を優しく見守ってくれている。
■「鞍はまりもいいので上手ですよ」と高木健騎手
深まりゆく秋で、明るくなるのが遅くなってきた調教タイム。最後に終えたのはアンカツさんたちと何度も戦った高木健騎手だった。1982年デビュー、笠松生え抜きで61歳。ベテランの目には、若い小林候補生はどう映っているのか聞いてみた。
「体重以外は問題なく、鞍はまりもいいので上手ですよ。頭も賢くて、高校は進学校に行っていて勉強ができる」とのことでJRA騎手学校の1次試験は受かった。「笠松では木曜日に体重検査があり、(昨年は体重オーバーで)職員に怒られていた。教養センターの教官に報告しないといけないし。でも今は基準体重をキープして、見た目も痩せているから頑張ったんじゃないですか。デビューは遅れるが」
■アンカツさんらに「この馬どう乗ったらいいですか」と
「(受け入れ先の)後藤佑耶先生には『いまの若い子は先輩らに騎乗技術などを聞きにいかないから』と言われていた。僕らの世代だと、速攻で自分から聞きにいっていた。アンカツさんとかいたから、うまい人に『この馬どう乗ったらいいですか』と。いまの子たちはそういうのがなく、言われたことをその通りやるだけだから。(僕らのような)昭和の世代とは違うけど。でも渡辺騎手の世代は、暇さえあれば調整ルームにある木馬に乗って一生懸命努力していたから。そういうこともやるといい」
「実習生にしては下手じゃないし、最初から上手だった。当初は名古屋で乗っていたが、(調教で)引っ掛かる馬でも何でも全部乗ってくるから、名古屋のジョッキーたちが褒めていた。どんな馬でも乗らないと勉強にならないから。まあ調教師が教えることだが、育てるのはこれからなんで」
今後順調なら来年4月にデビューする。「レースとかに関しては渡辺騎手らが教えるんじゃないかな。調教とレースはやっぱり違うからね。調教ではどういうふうにも乗れるから。レースはいっぱい乗った方がいいし。だから名古屋の若手は伸びる。チャンスを与えてもらっているから上手になっていく。望月騎手とかはいまだに怒られているね。危ないレースも多いから。近藤騎手も名古屋のレースで先輩にいつも怒られている。アンカツさんに怒られていた僕らとそれは一緒で、これからですよ」
■名古屋のルーキー近藤騎手は笠松初騎乗、新人を育てるのも先輩の役目
そういえばルーキーの近藤騎手が笠松で初騎乗したときのこと。レース後、名古屋の先輩が鞍磨きの手入れなどをした近藤騎手に「ありがとう」と感謝し「鉛も抜いといて」などとアドバイス。「小学生は一からずっと見とかないといけない。『よくできたね、えらいね』と褒めてあげないといけない。まだ『小学校3年生』でいまどきの子だから。先輩が一から百まで教えてあげないとできない子が増えている」と。近藤騎手も先輩にいじられながら「3年4組です」と答えるなど、にこやかで慣れた様子だった。
園田では「イチネンサンクミ」など珍名馬が走っていたが、新人騎手を育てるのも先輩の役目でもある。「こういうことを記事にしてほしい」との声も聞こえ、先輩・後輩の関係や若手騎手の育て方などにも注目していきたい。近藤騎手は既に32勝。笠松デビュー2戦目、ビップジョワに騎乗し重賞ブルームカップ4着。2日後の笠松A2特別で2着と健闘した。
■小林候補生「攻め馬で結構チャレンジ、失敗も多い」
攻め馬を終えたばかりの小林候補生も装鞍所から出てきた。「今からちょっと走ります」とのことで「調教を見ていたんだけど、調子はどう」と聞いてみた。
「いっぱいやることも多いですが、結構チャレンジしてやっているので。乗っているのは毎日15頭ぐらいでそんなに多くないです。明星先輩に攻め馬自体で言われることは特にないですが、僕自身が『これどう乗ったらいいですか』と聞いています。乗り方が難しい馬には、過去に騎乗していた先輩に『どういうふうに乗っていましたか』とか。こういうふうになった時はどう対処していますかとか」
実習再挑戦はうれしいことで、ジョッキーは足りないし、ファンも期待している。後藤佑耶先生には何て言われているのか。「いろいろ言われています。追い切った後、馬も気合が入るから引っ掛からないようにとか。1周目より2周目はペースを上げるようにとか」
順調に乗れているのか。「昨年より挑戦している分、失敗も多い感じです。自分自身、あぶみを短くしてできるだけモンキー姿勢をきれいにつくって乗ったりするんですけど、その分、失敗することがあったり。久しぶりに競走馬の馬場を体験して、学校の馬場とは全然違うなと実感しています。休学して乗っていなかったので。技術的に流れ作業のようにならないように、ちゃんと自分の技量として上げていきたいなと1頭1頭乗っていますね」
■中学時代はサッカー部でサイドバックなど
中学時代の部活では「サッカーを2年余りやっていました。サイドバックとかディフェンスが多かったです。高校時代(八尾高)は入っていませんでした。得意な教科は数学でした」。JRA競馬学校には2回目で1次試験には受かったが「2次試験は30~40人のうち乗馬未経験者は自分も含めて3人ぐらいしかいなかった」とのことで、やはり超難関(合格者は毎年5~10人程度)だった。
高木騎手からは調教で「どんな馬でも乗りこなしていて、結構うまく乗っているよ」と聞いていた。「そう言ってもらえるのはありがたいですけど。まだいい馬とか難しい馬には乗せてもらっていないので、信頼が足りないなと。オレンジ帽だから仕方がないですが。そういう馬でも手が空いている時に乗せてもらえるように、まずは自分の技量を上げていかないと。きょうの攻め馬でも失敗がいっぱいあったので」
■「最後の計量でオーバーしちゃって、休学に」
休学となったのは体重の問題が一番だったが。「最初に笠松に来る時点でちょっと重くて、実習中には規定体重から4~5キロもオーバーしていて。検査時には減量して合わせていた感じでした。食べなかったり、サウナとかで何とか落としていました。結構ぎりぎりの状態でしたし、最後の計量でオーバーしちゃって。それで結果的に休学になってしまいました」
昨年の実習時は「ご当地グルメ」などおいしい物を食べたりして体重が増えたか。「まあ食べ過ぎたのもありますし、生活のリズムを安定させるのが難しかったり。一つ失敗してどんどん悪い方向にいったりして。寝る間も惜しんでサウナに行ってフラフラの状態で攻め馬をしたりと体に良くなかったです」
明星騎手はまだ19歳だが重賞も勝っており、厩舎の兄弟子となる存在。「年齢は関係ないです。明星先輩は技術も経験も上なのでリスペクトしています。笠松の先輩騎手全員にリスペクトを持って学ぶつもりで日々過ごしています」。明星騎手には「特に言われることはないですが、優しい先輩ですし、悩み事なども気軽に話していますね。結構攻め馬の話が多いです」
■「ラストチャンス『次はない』という気持ちで」
今後も基準体重をクリアし、何か問題も起こさなければ、新規騎手免許にほぼ合格できるとみられる。笠松やJRAでも大きな問題となったのが調整ルーム内などでのスマホ使用。通信機器のルールはどこの競馬場でも必ず守らなければいけない。
地元ファンも期待しているが「ちゃんとデビューできそうか」と決意を聞いた。「正直、ラストチャンスなので佑耶先生のところでは次にダメだったら拾ってもらえないですし『次はない』という気持ちで取り組んでいます」と力強い誓いの言葉。今度こそ笠松競馬のジョッキーになりたいという熱い思いが伝わってきた。
再チャレンジで実習2年目というのは、笠松では珍しいこと。「先輩にいじられたりしますね。『来年もまた実習か』とか」。3年目も?ということで「そうやっていじられる方が助かる感じです。『何やあいつ』と見られるよりは。先輩たちも優しいですし、楽しくやらせてもらっています」と温かく迎え入れられたようだ。ファンたちも「よく戻ってきたなあ」という感じで、来春デビューを待ち望んでいる。
体力強化では「走るよりは筋トレとかの方が多いです。この後、体重検査があるので、念のためちょっと落としておこうかなと。きょう量ったら48キロちょうどで結構ぎりぎりだったので。攻め馬の後ですが、走っておこうと」。
■「同期だった近藤騎手を『颯羽先輩』と呼びます」
ところで名古屋の近藤騎手は107期生で同期だったが、小林候補生が108期に転入したので、今後は「先輩になります。今度会ったら『颯羽先輩』『颯羽さん』と呼びます」とニヤニヤ。近藤騎手は笠松重賞でも騎乗していたし、また参戦してきたら「いじり、いじられ覚悟で話しにいきます」。2人とも愛されキャラとしてファンにも注目されることだろう。
笠松は本当にのどかでのんびりした雰囲気が魅力の競馬場。今後は約2カ月間の競馬場実習を順調に終えて、体重面でも基準をクリアし、合格してほしいと願うばかりだ。来年4月には晴れて「祝・小林樹騎手紹介セレモニー」でファンに元気な姿を見せてほしい。
☆ファンの声を募集
競馬コラム「オグリの里」への感想や要望などをお寄せください。 騎手や競走馬への応援の声などもお願いします。コラムで紹介していきます。
(筆者・ハヤヒデ)電子メール ogurinosato38hayahide@gmail.com までお願いします。
☆最新刊「オグリの里5青春編」も好評発売中

「1聖地編」「2新風編」「3熱狂編」「4挑戦編」に続く第5弾「青春編」では、笠松競馬場などでの「砂上の格闘技」で完全燃焼した人馬たちへの惜別の思いも込めた。巻頭はシンデレラグレイ賞&トークショーでのウマ娘ファンの熱狂ぶり、続いて日本競馬界最大のヒーローであるオグリキャップ、アオラキ&ハルオーブ、ストーミーワンダー、ハマちゃんなどを特集。
林秀行(ハヤヒデ)著、A5判カラー、182ページ、1500円(税込み)。岐阜新聞社発行。ふらっと笠松(名鉄笠松駅)、笠松町歴史未来館、ホース・ファクトリー(ネットショップ)、酒の浪漫亭(同)、岐阜市内・近郊の書店、岐阜新聞社出版室などで発売。岐阜県笠松町のふるさと納税・返礼品。









