「勇気を出して話してみませんか」と犯罪被害者へのメッセージが入ったつり革=岐阜県大垣市高屋町、養老鉄道大垣駅
「被害にあったあなたのために」とメッセージが入ったつり革=岐阜県大垣市高屋町、養老鉄道大垣駅
ぎふ犯罪被害者支援センターの2次元コードが書かれたつり革=岐阜県大垣市高屋町、養老鉄道大垣駅

 「被害にあったあなたのために」。養老鉄道の列車に、そう書かれたつり革がある。9年前に傷害事件の被害に遭ったペットシッターの50代の女性=岐阜市=が出した、ぎふ犯罪被害者支援センター(岐阜市薮田南)の広告だ。事件後、トラウマ(心的外傷)を抱えた女性に寄り添い、回復への道のりを伴走したのがセンターの支援員だった。「つり革を見て、1人でも救われる人がいれば」と話す。

 列車内にあるつり革にメッセージを出してオーナーになる「つり革オーナー」を養老鉄道が募集しているのを見つけ、私費で申し込んだ。つり革に取り付けられたプレートの片面には犯罪被害者へのメッセージ、もう片面にはセンターのホームページにつながる2次元コードを載せた。

 女性は2013年・春、自宅アパートの共用スペースで面識のない男から突然顔を殴られる暴行を受けた。けがは重傷で搬送先の病院で生死の境をさまようほどだった。さらにひどかったのは心の傷。複雑性心的外傷後ストレス障害(複雑性PTSD)と診断され、意識や記憶がなくなる「解離」の症状に苦しみ、自傷行為などを繰り返した。

 心の中で嵐が吹き荒れる中、日常生活を送れるよう支えたのがセンターの支援員たちだった。「ホームページに『絶対に独りにさせない』とあったが、本当にその通り。『離れていてもそばにいるよ』といつも言ってくれた」。苦しくなると、スマートフォンに入れておいた支援員の顔写真を眺め「見てくれてる」と自分を励ました。

 「まだまだ治療途中だが、苦しみの渦から抜け出せた」という女性。つり革のメッセージは自分で考えた。「被害にあったあなたのために」の後には「苦しい思い 話せる場所に 勇気を出して話してみませんか」と続く。「犯罪被害者支援の専門家だからこそ、気兼ねなく話ができる。センターのことを知って、1人でも笑顔になる人が増えれば」と願う。

 センターは殺人や交通事故、性犯罪などの被害に遭った人を支援している。相談専用は月~金曜日の午前10時~午後4時で、電話058(268)8700。