火災現場での消火活動のほか、消防操法訓練や地域の夜警も消防団の重要な活動だ(本文と写真は関係ありません、コラージュ)

 岐阜県内の一部の消防団が、団に入らない男性に対して出不足(でぶそく)金を求めている問題。「団員確保の苦労も伝えてほしい」との声が岐阜新聞の「あなた発!トクダネ取材班」に寄せられた。西濃地域の消防団に所属する男性2人が取材に応じ、思いを語った。

 2人の所属する消防団は異なるが、ともに出不足金や自治会の協力金制度はないという。

 「ボランティアのはずなのに、なり手不足で年齢順に回ってくる『兵役』のよう」と語るのは、団幹部の自営業男性(49)。これまでに2度入団している。31歳で辞める際に幹部にならないかと打診され断った。39歳で再び勧誘された。「何人にも頼んで駄目だったのだろうと思うと2度目は断れなかった」

 夜間勤務の若手も少なくない。60代で入団した人もいるという。出不足金については見直す必要があると思うが「入団を断る人は、逃げ得」とため息をつく。

 別の消防団の自営業男性(48)は団員歴11年目。元々は転入者で「行事だけの参加でいい。5年頑張って」と誘われ「少しでも地域の役に立てたら」と軽い気持ちで入団した。だが実際には、活動に参加しない"幽霊団員"に代わって消防操法大会に5年間出場した。団員の平均在職年数は10年と長い。「毎年転勤などで地元を離れる若手が数人いる。その補充分以上の新入団員を確保しないと、年配者は順に退団できない」と明かす。

 勧誘は「最もつらく、団員が行う意味の見いだせない活動」という。毎年年明けから3、4週間かけて、新しくできた家や若い人がいそうな家を探し、手分けして毎晩一軒一軒回る。人数が確保できるまで続く。冷たく断られると、「善意で参加したのに何でこんな目に遭うのか」と思う。「出不足金が高額な自治体は2、3年周期で団員が入れ替わると聞き、うらやましい」と本音を漏らす。「団員が担う必要のない仕事を減らせないのだろうか」と投げ掛けた。

   ◇

 岐阜新聞は、暮らしの疑問や地域の困り事から行政・企業の不正告発まで、情報提供や要望に応え、調査報道で課題解決を目指す「あなた発!トクダネ取材班」を創設しました。あなたの知りたいこと、困っていることについて、ご要望や情報をお寄せください。LINEの友だち登録で取材班と直接やりとりもできます。