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「聲の形」モデル大垣市 "筆談"がつなぐ街とファンの絆



 主人公の石田将也と聴覚障害のある同級生の西宮硝子(しょうこ)を中心とした人間模様を描いたアニメ「聲(こえ)の形」。登場する街並みは、大垣公園や水門川沿いの風景など大垣市がモデルとなっている。京都アニメーションが手掛けた美しい映像とともに、水都の魅力を改めて発信。今も多くのファンが訪れる。

 水門川沿いの「四季の広場」(同市馬場町)。劇中に何度も登場する滝のトンネルからは、規則的な水の音が心地よく響く。将也と硝子がコイに餌をやっていた美登鯉(みどり)橋。二人のように水面を見下ろすと、コイが口を開けて群がってきた。ほとりにある市総合福祉会館では、映画公開以前から手話教室が開かれている。日常風景がそのまま作品に映し込まれ、登場人物たちが今にも駆け寄ってきそうだ。

 「新しい大垣を発見した」―。広場近くの奥の細道むすびの地記念館。ヒロイン硝子の持ち物を模した"筆談用ノート"(足跡ノート)には、ファンのさまざまな思いが記されている。2016年の映画公開直後に始まり、現在11冊目。新型コロナウイルス拡大前には東北や九州など遠方からのファンも多かった。

 「どこか懐かしさを感じる場所/次は桜の季節に来たい」。つづられた"声"は、この作品が水都の魅力を再発掘したことを物語っている。大垣観光協会の三浦武史事務局係長は「アニメファンの中から大垣ファンを増やすことができたのではないか」と語る。

 四季の広場などでファンの姿を見かけるようになったのは映画公開より前で、漫画連載が始まってから。観光協会ではガイドマップを作成し、17~19年に開催した「聖地」を巡るスタンプラリーの参加者は年々増加。19年には約880人が来訪する盛況ぶりだった。一方、劇中に登場する列車のモデルとなった養老鉄道は、記念切符などを発売。400万円超の売り上げを記録したという。公開から5年がたち、関連イベントはほとんどなくなったが、むすびの地記念館内のノートでの"筆談"が、今も街とファンをつないでいる。

 市内では16年以降、「銀魂」「母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。」「ブルーヘブンを君に」などの映画ロケが次々と行われている。三浦事務局係長は「聲の形が一つの推進力になり、映像作品を通して大垣の魅力を発信することにつながっている」と話した。

【作品紹介】2016年公開のアニメ映画。原作は大今良時さん(大垣市出身)の漫画。聴覚障害を理由にいじめを受けた少女と、いじめの中心になったことが原因で孤立した少年を中心に展開し、気持ちを伝えることや、理解し合うことの難しさを表現した社会派の物語。

カテゴリ: 動画