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オグリの里

「ヤングジョッキーズ」4日に笠松でトライアルラウンド最終戦



4日に笠松で行われるヤングジョッキーズシリーズに参戦する東川慎騎手

 「笠松でファイナリストに滑り込め!」。地方、中央の若手騎手が東西に分かれて熱戦を繰り広げている「2020ヤングジョッキーズシリーズ(YJS)」。11月4日には、西日本地区のトライアルラウンド最終戦が笠松競馬場で開催され、年末に園田、阪神で行われるファイナルラウンド進出者が決定する。地元からは東川慎騎手(19)と深沢杏花騎手(18)が参戦。デビュー以来磨いてきた騎乗技術をファンの前で披露する。

 西日本地区では園田、佐賀、高知、名古屋の各トライアルラウンドが行われ(金沢はコロナ禍で中止)、地方騎手は15人が挑戦。各騎手4、5レースに騎乗し、総合ポイントで競う。地方、中央とも上位4人がファイナル(東西で計16人)に進出できる。

 笠松ラウンドを残して、トップが高知の塚本雄大騎手(69ポイント)、2位は佐賀の金山昇馬騎手(68ポイント)、3位は佐賀の出水拓人騎手(67ポイント)で大接戦。4位に愛知の細川智史騎手(52ポイント)が続き、羽島市出身の愛知・浅野皓大騎手は8位(35ポイント)。

 笠松勢は2レースを終えて、東川騎手が11位(16ポイント)、深沢騎手は13位(11ポイント)。ファイナルに進出するには、笠松での残り2レースで上位を連発し、ポイントを稼ぐことが必要になる。できれば1戦目で勝利を挙げ、最終戦に望みをつなげたい。笠松勢のほか参戦するのは、魚住謙心騎手(金沢)、妹尾将充騎手(高知)が2レース騎乗。兼子千央騎手(金沢)、木本直騎手(兵庫)、浅野皓大騎手、出水拓人騎手は1レースのみ騎乗予定で、全員にファイナル進出のチャンスが残っている(浜尚美騎手は負傷欠場)。JRA勢では、3勝を挙げて西日本トップの岩田望来騎手の騎乗ぶりに注目。4位の団野大成騎手、5位の泉谷楓真騎手、7位の斉藤新騎手も上位を目指している。

 東日本地区では、小野楓馬騎手(北海道)がトップ。今冬、笠松での期間限定騎乗で活躍した関本玲花騎手(岩手)は全騎乗を終えて現在4位。11月5日・大井ラウンドの結果次第では、地方競馬女性ジョッキー初のファイナリストの可能性がある。

デビュー1年目の深沢杏花騎手もヤングジョッキーズシリーズに挑戦する

 東川慎騎手は昨年7月、レース中の落馬事故のため、YJS笠松、名古屋ラウンドへの出場を断念しており、悔しい思いをした。「体幹を鍛えたい」と体力強化に励み、初出場となった今年に懸ける思いは強い。昨年の勝利数は6勝どまりだったが、今年は28勝を挙げて成長した姿を見せている。父・東川公則調教師は6月のデビュー以来、18勝、2着13回。出走回数は少ないが、勝率は22%を超え好成績。初勝利は2戦目(6月5日)で息子が騎乗したジョーアドヴァンスだった。慎騎手には、笠松リーディングを6回も獲得した父の背中を追って、さらなる飛躍が期待されている。YJSでは第3コーナーからの追い上げなど思い切った騎乗で、全国の競馬ファンにアピールしたい。

 深沢騎手はデビュー以来、騎乗依頼が多く、400レース以上に挑戦。笠松で9勝、名古屋で2勝の計11勝を飾っているが、9月11日にナラで逃げ切って以来、勝利から遠ざかっている。YJSでは、騎乗馬に恵まれれるかどうかがポイントになるが、地の利を生かした積極的な先行策で、1着ゴールを目指したい。笠松勢では渡辺竜也騎手が2年連続(17、18年)でファイナルに進出し、中山の芝レースで2着になるなど健闘。総合では8位と9位だった。東川騎手、 深沢騎手にとっては厳しい戦いとなっているが、同世代のジョッキーたちには地元・笠松で負けたくない。

笠松競馬場の正門をバックに、スマホで記念撮影を楽しむ女性

■5日には2歳牝馬の「ラブミーチャン記念」

 5日には、地方全国交流重賞のラブミーチャン記念(1600メートル、SPⅠ)が笠松で行われ、2歳牝馬によるフレッシュな戦いが繰り広げられる。昨年は還暦ジョッキーとなった川原正一騎手が、1番人気テーオーブルベリー(北海道、田中淳司厩舎)に騎乗し、鮮やかな逃げ切りVを決めた。2着にニュータウンガール、3着にはワイエスキャンサーが食い込んだ。今年の笠松勢はジュニアクラウン1~3着のシャノンアーサー(花本正三厩舎)、ベニスビーチ(田口輝彦厩舎)、マナカフナ(同)など8頭が選定された。遠征馬は門別、高知からの2頭。

 中央、東スタンドでも観戦可能になった笠松競馬場内。シニアの常連さんが戻ってきたほか、若いファンの姿がやや増えてきたように感じられる。ゴール前で応援したり、飲食店でグルメを買い求めたり。笠松競馬場を舞台にした漫画「ウマ娘シンデレラグレイ」の効果もあってか、「聖地巡礼」を兼ねて来場する若者たち。オグリキャップ像に温かく迎えられ、場内を散策。最終レース後には、笠松競馬場の正門をバックにスマホで記念撮影を楽しむ女性の姿もあった。旅の途中に立ち寄った感じだったが、こんな光景は初めて見た。ラブミーチャン記念シリーズの4日間には、場内売店で利用できるグルメチケット(1枚200円)の配布もある(正門入場時、各日先着150人)。

連敗記録が「200」になったダンスセイバーのゴールシーン=門別競馬場(ホッカイドウ競馬提供)

■北海道のダンスセイバーが200連敗超え(笠松・マイネアトリーチェの日本記録更新)

 門別競馬場で10月20日、第5Rに出走した5番人気・ダンスセイバー(牝9歳、谷口常信厩舎)が9着に敗れ、2013年5月のデビュー戦からの連敗記録が「200」になった。主戦は亀井洋司騎手。今年はほぼ毎週出走しており、6連闘となった27日は7着と健闘したが、201連敗に記録を更新。門別の開催シーズンは4月~11月初旬で、今年は残りあと1戦。けがなどなく、元気に走り続ける姿は、地方馬のたくましさのシンボルでもある。

 父ダンスインザダーク、母リバフという血統。201戦して0勝、2着3回、3着10回。馬券圏内に絡んだのは18年5月の3着が最後。今年8月18日、門別第8Rで193連敗に達し、笠松競馬に所属していたマイネアトリーチェ(小森勝政厩舎)が保持していた192連敗の日本記録を更新した。

 笠松でひっそりと連敗を続けていたマイネアトリーチェは2003年生まれの牝馬。父がタマモクロスということで芦毛だった。中央で6連敗後、地方に移籍。金沢、兵庫、愛知、笠松と渡り歩いた。05年10月~12年7月にかけて192戦して0勝、2着2回、3着6回という成績。生え抜き馬ではなく、積極的に連敗記録はアピールされず、ニュースでもほとんど取り上げられずに引退。大塚研司騎手が主戦で、最後のレースでは筒井勇介騎手が騎乗し、8着だった。連敗記録といえば、高知競馬で人気を集め「存続の星」となったハルウララは「113連敗」。201連敗と比べれば、かわいいものだった。北海道のダンスセイバーの連敗はどこまで続くのか。引退せずに来年もぜひ雄姿を見せてほしいものだ。

 連敗記録というと、なぜか親しみを感じてしまう。野球では東京六大学で東大の94連敗(2015年に5年ぶり勝利)という記録があるが、かつて個人的に監督兼選手を務めていた職場の草野球チームが連敗街道まっしぐら。岐阜市軟式野球連盟のC級リーグ(年間9試合)で何と21年間も勝てなかったのだ。選手は夜勤者が多くて朝に弱い。9人そろえるのがやっとで、半数近くが不戦敗だった。

 引き分けは1度のみで、不戦勝を除けば150連敗以上。22年ぶりの勝利後にはナインに歓喜の胴上げをしてもらった。人生最初で最後の一瞬になりそうだが、背中のあの感触は心地良かった。毎年のように「今年で最後かな」と思いながらも、その年の最終戦が接戦になったりして、「来年勝てるかも」とチームを続けていた。廃止寸前までいった笠松競馬も存続を勝ち取ったが、やはり何事も諦めずに継続していくことが大切である。

 国内最高齢馬では、北海道にクラベストダンサーという18歳まで走り、今年4月に20歳で引退した牝馬がいた(210戦7勝)。名古屋競馬では、最高齢馬となった16歳牝馬ヒカルアヤノヒメ(井上哲厩舎)が元気に現役を続けている(274戦14勝)。父はメイショウオウドウ。このところの主戦は笠松の深沢杏花騎手で、10月14日にも騎乗し11着だったが、7月には3着の好走もあった。笠松のトウホクビジンやタッチデュールも「鉄の女」として全国区での転戦が際立っていたが、丈夫で長持ちの牝馬たちの挑戦は本当に素晴らしく、「無事これ名馬」である。

 ヒカルアヤノヒメと18歳の深沢騎手は「年の差2歳」という注目度の高いコンビ。15年8月、笠松で飾った勝利を最後に負け続けているが、近年は名古屋からの笠松への出張馬が強い傾向もある。5年以上忘れていた1着ゴールは、これまで4勝を飾っている笠松でなら達成できるかもしれない。深沢騎手とのコンビで期待したい。