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オグリの里

笠松グランプリ、兵庫のエイシンエンジョイ制覇



ゴール手前、激戦となった笠松グランプリ。下原理騎手騎乗の兵庫・エイシンエンジョイ(3番)がハナ差で制覇。内の川崎・ウインオスカーが2着。水野翔騎手騎乗のニュータウンガールは4着だった

 水野翔騎手のゴーサインに応えて、笠松のニュータウンガール(牝3歳、井上孝彦厩舎)が4コーナー手前で先頭を奪い、スタンドから歓声が上がった。ラスト100メートルを切って5頭が横に広がり、ゴール前は大激戦。1、2着と3、4着が写真判定になった。

 3日に行われた第16回笠松グランプリ(地方全国交流、1400メートル、SPⅠ)を勝ったのは、ゴール前で差し返した兵庫のエイシンエンジョイ(牡5歳、橋本忠明厩舎)で重賞6勝目。内から突っ込んだ川崎・ウインオスカー(牡7歳)がハナ差の2着。さらに1馬身差で、外から伸びた1番人気の兵庫・ナリタミニスター(牡5歳)が3着、ニュータウンガールはハナ差の4着となった。1~3着馬には下原理騎手、赤岡修次騎手、吉村智洋騎手が騎乗。全国リーディング上位の名手たちに水野騎手が絡んでの追い比べは、力強くて見応えがあった。

 笠松グランプリは、4月のオグリキャップ記念とともに看板レース。JRA勢抜きでの1着賞金1000万円は魅力で、他地区からは北海道と兵庫から2頭ずつ、川崎から1頭が参戦。過去3連覇を果たしている岩手のラブバレットが補欠に回るほどで、ハイレベルの激闘となった。

 終わってみれば、一昨年と同じ下原、赤岡騎手のワンツー決着。5、8番人気で馬連から万馬券となり、波乱を呼んだ。誰もが「ジョッキーで買っていれば」と思ったことだろう。6月のダートグレード・北海道スプリント(GⅢ)で金星を挙げたメイショウアイアン(牡10歳)=落合玄太騎手=と、道営スプリントを勝ったジャスパーシャイン(牡3歳)=阿部龍騎手=の北海道勢は追い込んだが5、6着が精いっぱいだった。

エイシンエンジョイの笠松グランプリ優勝を喜び合う下原騎手(左)、橋本忠明調教師(中央)ら

 専門紙が無印にするなど伏兵視されながらもVをさらったエイシンエンジョイ。笠松コースを得意にしており、昨年のサマーカップ(下原騎手)、今年の白銀争覇(鴨宮祥行騎手)の逃げ切りVに続いて笠松重賞3勝目。昨年の笠松グランプリは高知のケイマに逃げ切りを許して10着に終わったが、今年はハナを奪って主導権を握った。3~4コーナーでいったん2番手に後退したが、最後は馬群を割って差し返し、ウインオスカーとのたたき合いを制した。

 下原騎手は2年前のエイシンバランサーに続いて、笠松グランプリ2勝目を飾った。ウイナーズサークルでのお立ち台の常連さんで、笠松の地元ジョッキーよりもその場に慣れ親しんでいるように見えた。
 
 下原騎手「(最後は首の)上げ下げの勝負になり、写真判定を待つだけでした。直線で挟まれて馬がやる気を出してくれ、併せ馬のようになって伸びてくれました。(今年、東海地区の重賞4勝目で)有力馬にたくさん乗せていただき、勝つことができています」

 橋本調教師「6月に勝ってから放牧でリフレッシュ。帰ってきてからも調子が良かった。(前走で兵庫ゴールドカップを制し)今年最大の目標だったのが笠松グランプリ。とにかくハナに行って、どこまで頑張れるかでした。下原騎手が最後まで慌てずに、うまく乗ってくれました。笠松では走りがすごくいいです」

 「好きです笠松」と走りを楽しんだエイシンエンジョイ。最初の直線が意外と長い笠松の1400メートル戦。フルゲート12頭では、大外枠だと逃げるのに脚を使わされるが、3番枠からの好スタートでペースを握り、能力を発揮した。次走も笠松で、来年1月7日の白銀争覇になるか。順調ならV2を狙っており、東海勢の強敵になりそうだ。

表彰式で下原騎手に花束を手渡すアンカツさん。笠松育ちのレジェンド登場で盛り上がった

 ■笠松レジェンドのアンカツさん登場に沸く

 表彰式では、笠松レジェンドのアンカツさん(安藤勝己元騎手)も登場し、詰め掛けたファンを喜ばせた。笠松グランプリ前身の第1回全日本サラブレッドカップで、フェートノーザンを優勝に導いたのがアンカツさん。プレゼンターとして下原騎手に花束を手渡すと歓声が沸き、ふくよかになったアンカツスマイルに癒やされたのか、ファンも大盛り上がりだった。

 優しさあふれる下原騎手は、受け取った花束を「女性の皆さんにどうぞ」と、スタッフを通して10人ほどにプレゼント。「笠松はアットホームで、表彰式でも独特な温かい雰囲気が出ていましたよ」と花束を贈られた女性たちも笑顔を見せていた。

 アンカツさんは笠松グランプリの予想会にも出演(ネットでライブ配信)。「騎乗したフェートノーザンとオグリキャップでは、どっちが強かった?」という究極の質問。笠松育ちの名馬2頭は同時期に活躍したが直接対決はなし。司会の百瀬和己アナには架空実況をお願いしたいところだったが、アンカツさんは「ダートではフェートノーザンでは」とさらり。パドック解説にも登場し、ファンを楽しませた。予想の印は、名古屋のメイソンジュニアに本命の印を打ったが、しんがり12着に敗れて撃沈。奥さんの持ち馬であるアドマイヤムテキ=岡部誠騎手=は昨年の笠松グランプリで2着だったが、今年は8着に終わった。

 ■東海ダービー馬のニュータウンガール、復活Vへ手応え

 地元のニュータウンガールは半年前、東海ダービーをあっさり制覇。駿蹄賞に続いて2冠馬となり、笠松の大将格への期待があった。佐藤友則元騎手との最強コンビは解消され、岐阜金賞2着以降は4戦勝利なし。笠松グランプリでは6番人気。競馬新聞の予想も軒並み「無印」扱いで寂しい状態になっていた。経験豊かな古馬との対戦は園田・楠賞4着に続いて2度目となった。結果は4着だったが、3~4コーナーで先頭に立った走りに、陣営では「夢を見たし、声が出た。今後が楽しみになってきた」と興奮気味で、復活Vへ手応えを感じていた。

笠松グランプリでニュータウンガールに騎乗した水野翔騎手。このコンビでの重賞Vが期待されている

 水野騎手「調子が上がってきていたし、いい感じで自信があった。3~4コーナーでは頭一つ前に出ましたが、そこから遊んじゃったんでね...。難しさがある馬です」

 井上調教師「4コーナーでは勝ったかと。1400メートル向きのようで、思った以上に行きっぷりが良くなっていた。抜け出してからが課題で、次からはチークピーシーズ(レースに集中させる馬具)を装着してみたい」

 水野騎手「頑張ります。手応えが良かったし、(僕にとっては国内初となる)重賞を勝つ可能性が一番ありそうな馬です。道中の走りなどで、騎乗技術を高めてこの馬で勝てるようにしたいです」

 ニュータウンガールの次走は1月4日の名古屋記念(1400メートル)になりそう。水野騎手は馬とのコンタクトを高めて、来年は笠松のリーディングジョッキーも目指す構えだ。

 水野騎手「レースでは、小さなアクションが馬に伝わるし、ひらめきが出るようになるといい。アクションが違えば、馬にも違った反応があったかも...。ニュータウンガールのレースでは前に壁をつくって、(先頭に出ても)やめないような競馬ができるようになるといい。勝負どころで馬へのアプローチの仕方を変えていきたい。3歳牝馬とのコンタクトの仕方では、彼女の気分と僕の気持ちを合致させないとね。これは女性を口説く(恋愛の)アプローチと同じですからね(笑い)」

 水野節も飛び出したが、どんどん波に乗っていけそうな成長株の23歳。名古屋での騎乗依頼は多いし、笠松では開催リーディングも増えている。

 水野騎手「来年は地元の笠松、名古屋で通年騎乗したい。笹野先生にも恩返しをしたいしね。コロナ禍で海外には行けないし、(期間限定騎乗でも)来年は南関東にも行かないつもりですが、重賞などで頼まれればスポット参戦はしたいです。まずは笠松でリーディングを狙います」

 地元の水野騎手ファンにとっては一安心。新春の名古屋記念では、ニュータウンガールとのコンビで国内重賞初Vの初夢を実現してもらいたい。「笠松グランプリはあと一歩だったし、惜しかった。次は期待できそうですね。(4着で)馬券的には絡めなかったが、見ていて楽しかったです」と、水野騎手ファンは地元勢の意地を見せた走りに満足そう。昨年末のライデンリーダー記念から重賞5連勝を飾ったように、寒い季節の方が良く、調子を上げていくタイプ。笠松の看板ホースとして、一回り成長した姿を見せてほしい。

 このほか、笠松勢では筒井勇介騎手が騎乗した大型馬ウラガーノ(牝6歳、田口輝彦厩舎)は12番人気の低評価だったが、1着馬から0.7秒差の7着と健闘した。筒井騎手は最終レースの師走特別(A2組)では、トウホクビジンの初子ユノートルベル(牝4歳、花本正三厩舎)に騎乗し、好位から差し切りVを決めた。笠松転入2戦目で「メンコを外してみた。前の馬につけて、最後の走りは良かったです。丈夫な馬ですね」。中1週で適応力を発揮し、母譲りのタフさを備えているようだ。女性の人気も高い注目馬で、東海地区の重賞戦線をにぎわせるスターホースになりそうだ。