小児科医 福富悌氏

 立秋も過ぎましたが、まだまだ暑い日が続いています。これまでの猛暑で誰もが体力を消耗し、体調を崩しやすくなっています。その一方で遊園地などでは、子どもが元気に走り回っています。野球やサッカーの練習や試合でも、炎天下で一生懸命にボールを追いかけている姿を見かけることがあります。このようなことから、子どもは暑さに強いのではないかと思いますが、実は子どもは暑さには弱く、熱中症になりやすいと考えられます。

 子どもは体調管理が自分でできない上、大人より水分量が多いため、大量の汗をかくことにより脱水になりやすくなります。また大人よりも身長が低いため、屋外では地面から照り返しの影響を強く受けます。そのため大人の顔の高さで気温が32度の時、子どもの顔の高さでは35度ぐらいあるとされています。さらにベビーカーは地面に近く、影響が大きいと考えられます。そのため子どもは、大人より高温の環境下にいることになります。

 特に乳幼児は、体温調節機能が十分に発達していないことに加え、暑さや体の不調を、まだ自分の言葉で十分に訴えることができないため、服装や摂取するものによる暑さ調節がうまくできません。汗や体温、顔色や泣き方などの様子を、まわりの大人が気にかけましょう。

 小中学生は外遊びに夢中になること、スポーツや応援で無理をすること、室内で行うスポーツの部活であっても、水分補給や休憩を忘れて夢中になりすぎることがあります。特にチームプレーで行う競技は、集団の和を乱してはいけないと、体調不良を訴えにくいこともあるため、注意が必要です。

 注意する症状は、めまい、体のほてり、大量の汗、体のだるさ、吐き気などです。意識がはっきりしない、自分で水分が取れないなどの症状があれば、すぐに医療機関を受診しましょう。

 熱中症が疑われたら、症状や重症度にかかわらず、涼しい場所で休み、体を冷やして、自分で飲める場合には、水分補給を十分にします。スポーツ飲料などで適度に塩分も取りましょう。

 暑さが続いている時は、子どもが寝ているから、ちょっとの時間だからと、室内や車内に置き去りにすることは絶対にやめましょう。室内遊びでも、子どもが夢中になっている時は、油断せず、適度な休憩と水分補給を心掛けましょう。

(岐阜市安食、福富医院院長)