3年ぶりに有観客開催となった第104回全国高校野球選手権岐阜大会。スタンドにもコロナ禍以前の活気が戻り、生徒らが球児にエールを送った=9日午後4時17分、大垣市八島町、市北公園野球場

 第104回全国高校野球選手権岐阜大会は9日、岐阜市長良福光の長良川球場で開会式を行い、開幕した。全出場校が参加した開会式は3年ぶり。選手の行進や吹奏楽部の演奏、コーラス部の合唱も復活し、新型コロナウイルス流行前に近い形での開催が実現した。球場の入場制限もなくなり、スタンドでは大勢の野球ファンが球児の熱いプレーを見守った。

 新型コロナの影響で、昨年は長良川球場の第1試合の2校が参加する開始式にとどまったが、今年は68校67チームの選手が参加。スタンドの応援も昨年までの2年間は保護者ら一部に限っていたが、今年は3年ぶりに一般観客を受け入れ、大勢の観客がスタンドを埋めた。

 現在の3年生は、新型コロナウイルス流行後に入学した世代。感染拡大で休校や部活動の休止を余儀なくされ、限られた時間の中で練習を重ねてきた。長良川球場での開幕戦に臨んだ揖斐高の筒井崇彦主将は「コロナで全員集まらないとできない練習が全然できなかった。一戦一戦全力で戦っていこうという思いで大会に臨んだ」と思いを語った。試合は雨で継続試合となったが、「思った以上に観客がいて緊張したが、すごい勇気づけられた」とスタンドの応援に感謝した。

 開会式に関わる選手以外の生徒にとっても通常に近い開催に歓迎の声が上がる。迫力あふれるパフォーマンスで開会式を盛り上げた県岐阜商高吹奏楽部主将の3年生(18)は「緊張したが、力強い演奏ができた。選手の力になれば」と笑顔を見せた。

 3年生を間近で見てきた下級生にとっても、今夏の開会式は印象的に映った。大会歌を担当した岐阜高音楽部1年生(15)と長良高コーラス部1年生(16)は「3年生が歌っている時の表情が、心の底から笑っているように感じた」と声をそろえた。

 球場では、観客もスタンドで声援を送った。岐阜市の男性(79)は新型コロナ流行前まで毎年のように球場を訪れ、試合を観戦していた。「やはり生で見る高校野球は迫力がある。雨で継続試合になってしまったのは残念だったが、明日からも頑張ってほしい」とエールを送った。