健闘を誓い合う(左から)片野琉斗さん、水谷優佑さん、日比陸翔さん、飯沼海斗さん=6月30日夜、不破郡垂井町、不破中学校

 9日開幕の第104回全国高校野球選手権岐阜大会に、不破中学校(岐阜県不破郡垂井町)出身の3年生4人がそれぞれ主将として臨む。4人は中学で同じ野球チームに所属し、別々の高校に進学。入学後の2年余はコロナ禍に翻弄(ほんろう)され続けた。各チームのまとめ役として同じ重圧と戦ってきた4人は、最後の夏を前に母校に集まり、健闘を誓い合った。

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 4人は、岐阜市立岐阜商業高の片野琉斗さん(17)、大垣養老高の水谷優佑さん(17)、大垣西高の日比陸翔さん(17)、不破高の飯沼海斗さん(17)。中学時代は、地域の軟式野球チーム「不破クラブ」で共に野球に打ち込んだ。

 不破クラブは2017、18年と2年連続で中体連の全国大会にも出場した強豪。17年に中学に入学した4人は、全国で戦う先輩の背中を見て練習に励み、同級生12人のうち9人が高校進学後も野球を続けた。

 しかし思い描いた高校生活は打ち砕かれた。入学直前に新型コロナウイルスが流行し、学校生活や部活動は大きな制約を受けた。満足のいく練習はできず、モチベーションを保つことさえ難しい日々が続いた。

 不自由な練習を強いられる中、4人はそれぞれ合間を縫って古巣の不破クラブを訪れたという。「硬式とは違うけど、トレーニングの質が高いので参考になる」と日比さん。他のメンバーも「後輩に教えることで自分の練習にもなった」と振り返る。

 中学時代も主将を務めた片野さんは「苦しかったのは日本中同じ。コロナのせいにしたくない」と前を向く。逆境はあったが「短い時間でどう練習すれば効率的に質を高められるか、考えて主体的に行動できるようになった」と語る。

 母校のグラウンドで久々に顔をそろえた4人。全員が主将を務めることに「同じチームだったから不思議な感じ」と笑う水谷さん。「チームがうまくいかず主将を辞めたい時もあったけど、率先して行動することで周りが信頼してくれるようになった」と胸を張る。

 わずか11人のメンバーで最後の夏に挑む飯沼さんも「主将をやったおかげで成長できたと思う。皆に今の自分を見てほしい」と決意を込める。

 不破クラブ代表の北野衛さん(59)=同町戸海=は「立派に主将を務めていて、うれしい」と4人の成長ぶりに目を細める。コロナ禍や少子化の影響で、クラブの今春の新入部員は1人。練習に協力する4人を見つめ、「彼らの戦いぶりが、後輩を元気づける力になってくれるはず」と期待する。