1600年10月21日(旧暦=慶長5年9月15日)に起きた「関ケ原合戦」から、今年で422年。現在の岐阜県関ケ原町を決戦地に、徳川家康率いる東軍と石田三成率いる西軍が激突した〝天下分け目の戦い〟は、東軍勝利で幕を閉じたが、いまでも歴史ファンの家康(東軍)派と三成(西軍)派の間で舌戦が続く。

かんたん検索! 岐阜県・東海のイベント お出かけ情報総合サイト「ぎふっと!」

 だが、あまり知られていないのが地元の声。合戦の舞台になった関ケ原では、どちらが支持されているのだろう。「あなたは、家康派ですか? それとも、三成派ですか?」。地元から発信できる岐阜新聞ならではの視点で、関ケ原町の人たちに聞いてみると鋭い意見が続々。家康と関係が深い〝意外なあの人の〟影響も見えてきた。記事の前半は町で出会った人たち、後半は町長や歴史好きの人たちにインタビュー。岐阜新聞Webでは動画も公開しています。

関ケ原合戦の日に合わせ、関ケ原町の人たちに緊急アンケート。どちらに軍配が上がるのか!?=不破郡関ケ原町、関ケ原古戦場決戦地

予想は三成圧勝

 事前の予想は「三成の圧勝」。関ケ原は、三成の生誕地・滋賀県長浜市に近く、三成びいきの人が多いと聞いたことがあるからだ。果たして、そのうわさは本当なのか。

 まずは町内を歩き、出会った町民に突撃インタビュー。関ケ原観光協会の観光マップ「関ケ原合戦 史跡めぐり」のモデルコースの一つ、行軍コース(約17キロ・徒歩約5時間)を歩く。関ケ原は「このまち、まるごと、古戦場。」(町内の電柱に掲げられたキャッチコピー)で、関ケ原駅前観光交流館を発着点に、徳川家康最後陣跡、岡山烽火(のろし)場、決戦地、笹尾山・石田三成陣跡、島津義弘陣跡、開戦地、大谷吉継墓、松尾山・小早川秀秋陣跡、本多忠勝陣跡といった名だたる史跡を巡ることができる。

大河ドラマ効果?

 出会った町の人は―。駅前観光交流館で職場体験中だった地元の男子中学生2人。早速意見が分かれた。三成派の生徒が「三成は人情深く、思いやりがある」と推すのに対し、家康派の生徒は「三成は裏切られるぐらいなので、人望がない」とバッサリ。「家康は手紙を送って武将を仲間にした。いい人だと思う」と、丁寧な仕事ぶりを評価していた。

職場体験中の地元中学生は、家康派と三成派で意見が分かれ、激論に!?=不破郡関ケ原町、関ケ原駅前観光交流館

 その後も出会うたびに聞いていくと、家康派からは単純に「勝ったから」や「江戸幕府260年の基礎をつくったから」といった声が聞かれる一方、三成派からは「秀吉に忠実に仕えた。堅い人間関係を築いていた」などと、その人間性を買う声が目立った。

 票数は、出だしは5対2で家康リード。来年の大河ドラマは、家康が主人公の「どうする家康」だ。農作業をしていた男性は、家康リードの状況に驚き「家康役が松本潤さんだから、みんな家康派になったんじゃないの?」と推測していた。

「普段は三成派」

 ところが、決戦地まで来ると、この先は西軍の陣地。徐々に三成派が増えていく。自転車の男性は、三成に1票。「普段は三成派でやってますんで」と、意味深な言葉を残してサーッと去って行った。そして、三成が陣を張った笹尾山を過ぎたところで、ペタンク帰りの80代女性2人。「私らは地元だし、すぐそこが笹尾山なので」と三成に2票。三成派の〝総攻撃〟で5対5に並んだ。

決戦地まで来ると三成派が増え始め、自転車の男性は「普段は三成派でやってますんで」と意味深な一言=不破郡関ケ原町、関ケ原古戦場決戦地近く

 島津義弘の陣跡を経て大谷吉継の墓前で手を合わせ、東海道新幹線の線路をくぐると、いよいよ小早川秀秋が陣を張った松尾山だ。その麓で作業をしていた軽トラの女性は「以前の大河ドラマで三成が誠実な人物に描かれていたのが印象的だった。真面目な人だと思う」と、三成に1票。ただ、来年の大河ドラマは松本潤さんが主役なので「家康に目が移るかも…」と、まさかの寝返り宣言も!? マツジュン恐るべし。

コースは最終盤へ

 さて、松尾山。実は標高293メートルで、往復約80分かかるハードな山だ。おそらく登っても町民はいない。しばし熟考し、いや…登ろうと決めて挑むと、山頂付近に猿がいた。「家康派ですか? 三成派ですか?」。何度か尋ねるも返事がなかった。しまいには背中を向けられてしまった。そういえば、何年か前に滋賀県の安土城跡を登った時も猿と遭遇。気性の荒い猿だったのか、威嚇されたことがあった。松尾山の猿は、おとなしい猿で助かった。

標高293メートルの松尾山の山頂からは、関ケ原古戦場が一望できる=不破郡関ケ原町、松尾山

 松尾山を下りると、コースは最終盤だ。ゴールの駅前観光交流館までに家康は6票、三成は4票を獲得し、家康派からは「合戦前の戦略が優れていた」、三成派からは「優しい性格だから」といった声。「関ケ原たまり」の関ケ原醸造では、裏口に親方とお弟子さん。親方は家康に、お弟子さんは三成に投じた。これが織田信長と〝裏切り〟の明智光秀の投票だと緊張が走るが、お弟子さんは「生きざまが好き」と、忠義に生きた三成推し。これには親方も、ほっと一安心といったところだろう。

逃げ切りか逆転か

 そして、ゴールへ。町内を歩き7時間半。声をかけた人に誰にも断られることなく、結果は家康11票、三成9票で、予想外の家康リードで折り返し。後半は、町長や町内の歴史好きにインタビュー。このまま家康が逃げ切るか、それとも三成が大逆転を果たすのか。記事は、いよいよクライマックス。後半へと続く。

前半は、家康11票、三成9票で折り返し。結末はいかに!?(取材の動画は、岐阜新聞Webで公開しています)