新型コロナウイルスの深刻な感染拡大を受け、岐阜県は16日、31日までのまん延防止等重点措置の対象地域に、高山市や下呂市など6市町を追加した。飲食店に対する午後8時までの営業時間短縮に加え、酒類の提供自粛などの対象となる。全国的に知られる観光地・飛騨地域の両市では、観光関係者や飲食店関係者らが、梅雨入りの冷たい雨の中で覚悟を決め、一日も早いコロナ収束を願った。
◆飲食店「感染拡大防ぐ」 高山市
高山市の古い町並みでは朝から雨が降り続き、行き交う観光客の姿もまばら。市が対象地域となったことを知らず京都府から訪れたという60代の男性は「酒は旅行の一番の楽しみだったのでがっかり」と不満そう。一方で「収束のためには仕方がない。家に帰ってから飲みます」と、土産用に日本酒を購入する埼玉県の60代夫婦もいた。
居酒屋やスナックが立ち並ぶ同市朝日町の繁華街「一番街」では、ほとんどの店が「5月31日まで休みます」との張り紙を出し、日が落ちても街に明かりがともることはなかった。
「このまま営業を続けていいのかと迷いがあったので、対象地域となったことは肯定的に捉えている」と感染拡大防止に理解を示すのは、江戸時代から続く同市馬場町の料亭「角正」12代目主人の角竹正至さん。しかし、ほとんどの客が食事と酒を楽しむのが料亭。31日まで酒を提供せず時短営業するつもりだが、「今までのような営業ではないので、厳しい状況になってしまうのも事実」と苦しい胸の内を明かした。
31日までの休業を決めた同市朝日町の居酒屋「魚やす」の店主前川浩輝さん(50)は「お酒が出せなければ商売にならない」とため息をつく。時短営業も考えたというが「市内でも感染者が増えてきた。病床のことなどを考えると、これ以上感染を広げるわけにはいかない」と覚悟を決めた様子だった。
◆旅館は酒類提供中止 下呂市
下呂市の下呂温泉は大型連休中、多くの観光客でにぎわった。旅館やホテルは感染予防の共通ガイドラインを設けて対策を徹底し、観光客を迎えてきた。下呂温泉観光協会の瀧康洋会長は「迎える旅館側も対策しているし、お客さまも気を付けている」と話す。大型連休は、昨年と比べて稼働率が回復していた旅館もあったという。
同市森の旅館「木曽屋」では、9日からカラオケボックスの営業を、16日からは食事での酒類の提供を取りやめた。館内の自動販売機からもビールなど酒類を撤去。神田哲夫社長(69)は「致し方ない。感染防止へは押さえ込みが必要」と厳しい表情で語り、「収束後も商売が続けられるよう、国には十分な補償を出してほしい」と話した。
飲食店での酒類提供停止の影響は、酒蔵にも及ぶ。同市萩原町萩原の天領酒造では、通信販売こそ好調だが、旅館や飲食店向けの落ち込みをカバーするほどではないという。上野田隆平社長(67)は「仕方がない。早くコロナが収まるためにも、ワクチン接種が早く進んでほしい」と期待を寄せた。













