遠足で約14キロを歩いた恵那西中生徒=恵那市東野
遠足から学校に戻り、豚汁を食べる生徒=同市長島町、恵那西中学校

 規模縮小ではなく新たな行事を始めよう、西中コロナチャレンジ―。恵那市長島町の恵那西中学校では、昨年12月に続き今年4月30日に「ウエストン ウオーキング ウイズ アケテツ」と題し、同市の第三セクターが運営する明知鉄道で岩村駅まで行き、西中を目指して約14キロを歩く遠足を開催。生徒が地域を知り郷土愛を育み、コロナ禍でも前向きに生きていく大切さを学んだ。

 昨年は、新型コロナウイルス感染症の影響で体育祭や授業参観などの行事が相次ぎ中止になった。12月の合唱祭は学年ごとに行うことも考えたが、「規模を縮小して開催しても生徒のモチベーションはあがらない」と、熊﨑健一校長が密を避けて窮屈にならないウオーキングを代替開催することにした。また、地元の明知鉄道を利用したことがない生徒が3割近くいることを知り、岩村駅まで乗車することを決めた。タイトルの「ウエストン」は、2014年度に生徒が考案したキャラクター。

 当日は学年ごとに時間をずらし、1年生から3年生まで計389人が出発。まず学校からバスで明知鉄道恵那駅に行き、列車に乗り岩村駅へ。下車してから歩いて学校に戻った。途中、中間点となる阿木川ダム公園で昼食をとった。約4時間かけ学校に到着後、グラウンドで地元有志の学校運営協議会や長島地域自治区運営協議会、PTA家庭教育委員会のメンバーらによって豚汁が振る舞われた。

 学校運営協議会会長の和仁誠さん(71)は「材料や銅鍋を用意し、作った豚汁は600食分。子どもたちの笑顔が見られてうれしい」と話した。ほかのメンバーは「この行事は地域の防災訓練」とし、長い距離は帰宅困難時の対応、豚汁は避難生活の炊き出しになるという。「災害対応といっても、なかなか人は集まらないが、子どもたちのためとなると地域の人たちは協力する」と笑った。

 完歩した2年生の野﨑莉央さん(13)は「長い距離を歩くのは苦手だが、みんなで励まし合い歩ききった。あらためて仲間の大切さを実感でき、企画してくれた生徒会と先生に感謝している。自分自身もコロナでもできることを考えていきたい」。3年生の永谷真波さん(14)は「普段、明知鉄道は利用しないので、昨年に続き人生2度目の体験。急勾配と急カーブを走る鉄道だと知ることができた」と笑顔だった。

 熊﨑校長は「コロナ禍でもやれることは、できる限りやる」ときっぱり。西中コロナチャレンジが生徒たちに達成感をもたらし、同校の歴史に足跡を刻んだ。