医療・福祉施設が農福連携に着手

 フェニックスグループ(本部・各務原市)では3年ほど前から、子どもから高齢者まで、障がいの有無に関わらず、誰もが安心してつながり合える場の創出を目指す「つながる街ゴザーレプロジェクト」に力を入れています。「医療・福祉には地域づくりの視点が不可欠」との思いが発端で、フェニックス総合クリニックのすぐ裏に、土壌づくりをした上で植樹をして人々が集える「ゴザーレの杜」をつくったり、地域の子どもたちに多様性を学んでもらうイベントを開催したりと、医療・福祉施設という枠にとらわれない幅広い取り組みを続けています。

就労移行支援事業所・就労継続支援B型「VIVAローゼ」利用者と市民サポーター、岐阜各務野高校の生徒らが力を合わせて、市民の家庭から出た生ゴミ堆肥で作ったサツマイモを収穫=各務原市鵜沼各務原町

 今年6月には特別養護老人ホームなどが入る「プラザ&メゾン」の北側の300坪ほどの畑「ゴザーレファーム」に、就労移行支援事業所・就労継続支援B型「VIVAローゼ」の利用者らと市民サポーターがサツマイモを植えました。グループ初の農福連携の試みです。

 ここでもポイントは土壌。市民サポーターら20人ほどに生ゴミで堆肥をつくるための段ボールコンポストのキットを配布し、各家庭でできたものを畑のすぐ横に設けた堆肥舎に持ち寄ってもらい、その場でさらに完熟させて使っています。段ボールコンポストは、生ゴミの量や水分が多すぎたりするとうまくできないこともあり、サポーター同士で意見交換し、工夫を重ねながら進めています。日々の水やり等もVIVAローゼやケアハウスの利用者、市民サポーターらが担いました。

 そして先月21日には収穫できるまでに成長。この日は利用者やサポーター以外にも岐阜各務野高校ビジネス科アカウンティングフィールドの3年生や、ゴザーレの杜にある小規模保育園テテットの園児ら総勢60人ほどが集まり、大きく育ったサツマイモを、力を合わせて掘り出していきました。

 今回取れたサツマイモは、フェニックスでフードプロデューサーとして働く浅井康史シェフと収穫作業に参加した生徒が共同開発したクレームブリュレや、タルトの材料に使われ、先月29日にイオンモール各務原で行われた食品ロス関連イベントで販売されました。残りは浅井シェフが腕を振るうフェニックス運営のレストラン「GA楽」でも使う予定。食という身近な形で、共生社会や循環型社会の大切さを来店客らに訴え、より良い地域づくりにつなげていきます。

【循環型社会 フェニックス版

市民の生ゴミを堆肥化

障がい者らが農業で使用

地域みんなで収穫体験

シェフがおいしく調理して販売