おいしくて安く、安心安全を売りにして創業以来変わらぬ人気の「竹輪(ちくわ)」を製造し続ける岐阜県瑞浪市山田町の十味惣(とみそう)。製造は機械がメインだが、魚の練り肉の弾力を増すために温度管理を徹底した「坐(すわ)り」と呼ぶ工程があるなど、長年培ったノウハウで高品質の製品を送り出している。
国際的な食品安全の認証スキーム「FSSC22000」などを取得しており、工場内が清廉であることはもちろん、製品の管理も徹底している。まずは原材料の冷凍すり身を一晩かけて解凍し、でんぷん、水などとミキサーの中で混ぜ合わせて「練り肉」をつくる。アレルギー対策で卵は一切使わない。「季節によりミキサーの中の温度や混ぜ合わせる時間を調整し、最善の品質状態にしている」と山下真人工場長(49)。
その後、ステンレス製の串に練り肉を巻き付け、一番のこだわり作業に。「坐りBOX」と呼ぶ機械の中で一定温度で保温して、ちくわの弾力を出す。手間はかかるが、社のノウハウがつまった工程。山下工場長は「年間を通じて『坐りが良い状態』を保つことで、しなやかな弾力の食感で味の良さが均一に保たれる」と胸を張る。
いよいよ焼きの工程。同社では約3メートルのラインで串を高速回転させながらじか火で焼く。一気に焼き目が付き、周囲には香ばしい匂いが立ち込める。「温度は高過ぎても低過ぎても駄目。均一に焼き目が付くよう適温をキープすることに注意している」と山下工場長。トンネルフリーザーと呼ばれる機械で急速に冷やし、職人魂が詰まったちくわが出来上がる。
製品の安全を管理する体制も徹底している。トンネルフリーザーなどは毎日、自動洗浄で蒸気殺菌を行うほか、検品作業では人の目で焼き目のばらつきがないか外観をチェックした上で、X線検査で異物混入も調べる。
目下の悩みは円安に伴う原材料の高騰。佐野則道会長(71)は「2年前と比べ2倍に値上がりした原材料もあるが、できる限り値上げはしたくない」と、米国やインド、ベトナムなどから最適なすり身の仕入れに注力する。「温度管理などは日々の作業の中で最適な状態を探る研究を重ね、商品の味は成長している。味にこだわり、品質を落とさず、低価格で安心安全な食品を提供したい」。おいしさを追求する精神に終わりはない。
【工場概要】1989年に瑞浪市に会社を設立。工場の敷地面積は1万5606平方メートルで、従業員は約200人。ちくわで年間2800万パック、その他製品を含め年間8400万パックを生産する。衛生管理に力を入れ、2011年にISO9001認証を取得。18年にはFSSC22000認証を取得した。瑞浪市山田町。










