完成した旧谷汲線のシミュレーターの画面を指して笑顔を見せる祖父江恵太さん(左)と笠原基さん(右)=瑞穂市馬場春雨町
廃線間際を参考に、シミュレーターで再現された谷汲駅

 岐阜県揖斐郡大野町と揖斐川町を結び、2001年に廃線となった旧名鉄谷汲線が、20年の節目に若者二人の手でパソコンで楽しむ運転シミュレーターとして画面上によみがえった。インターネット上に公開したほか、11月13日に同線の終着駅だった旧名鉄谷汲駅(揖斐川町)で運転台型コントローラーを使った体験イベントが開かれる。

 シミュレーターはインターネット上の無料ソフトウエアを基に制作。廃線間際を参考に黒野-谷汲駅間の風景を3DCGで再現している。「赤い電車」として親しまれたモ750形など、複数の車両から選択して当時のダイヤに沿って運転する。雨や雪といった天候も変えることができる。

 仕事の傍ら趣味でシミュレーターを作っていた本巣市の笠原基さん(26)が制作。会員制交流サイト(SNS)を通じて交流していた、谷汲地域の町おこしに取り組むNPO法人「にわてつ」で広報を担当する祖父江恵太さん(18)の依頼に応えた。

 二人とも幼い頃に親しんだ旧揖斐線や各務原線などがきっかけに鉄道が好きに。「あの頃の鉄道を見てみたい」という熱意から、法人が毎年秋に開くイベントに合わせて制作が始まった。

 約1年を掛けて昨年に仮の作品ができ、改良を経て春に完成した。笠原さんは鉄道好きの友人と協力してネットオークションや国会図書館で資料を収集、建物や地形などの再現度を高めた。車両の走行音には実際のものを使った。当時を知る法人の松田勝義代表が「感動する。本当に知らなかったの?、と言いたくなるくらい」という出来栄えになった。

 沿線の飲食店などに呼び掛けてシミュレーター上に広告看板を設置したり、谷汲地域のマスコットキャラクター「いのりちゃん」を登場させたり遊び心もいっぱい。笠原さんは「どんな風に遊んでもらえるか楽しみ」と笑顔を見せ、祖父江さんは「県外や海外の人に発信できる機会になる」と期待を寄せた。

 イベントは午前10時~午後4時の開催で、参加無料。問い合わせはにわてつの松田代表、携帯電話090(2131)8195。